輝沸石(読み)きふっせき(英語表記)heulandite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「輝沸石」の意味・わかりやすい解説

輝沸石
きふっせき
heulandite

沸石一種。六角板状の結晶、あるいは葉片状結晶の集合をする。沸石中、劈開(へきかい)面での真珠光沢がもっとも著しい。玄武岩安山岩流紋岩、花崗斑(かこうはん)岩などの空隙(くうげき)中に、束(そく)沸石、菱(りょう)沸石、剥(はく)沸石、十字沸石魚眼石ぶどう石方解石などと産する。また、花崗岩ペグマタイトの最末期生成物として産する。そのほか、沸石岩を構成したり、熱水性金鉱脈中や接触変成を受けた石灰岩中にもみられる。交換性陽イオンの種類によって、種が細分される。英名はイギリスの鉱物収集家ヒューランドJohn Henry Heuland(1778―1856)にちなんで命名され、和名は真珠光沢が著しくきらきら輝くところからつけられた。

松原 聰]

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改訂新版 世界大百科事典 「輝沸石」の意味・わかりやすい解説

輝沸石 (きふっせき)
heulandite

沸石類鉱物の代表的な種。化学式(Ca,Na2)(Al2Si7O18)・6H2O。形態は単斜晶系の厚い板状結晶で,板に平行にへき開が発達する。無色,白色であるが,赤鉄鉱などとの共生により淡紅色を示す場合もある。ガラス光沢を呈するが,へき開面の方向では真珠光沢を示し,輝きをもつため輝沸石の名称がつけられた。玄武岩,安山岩などの空げきや割れ目に低温熱水作用などにより生成する。共生鉱物として方解石,魚眼石などを伴うことが多い。多くの産地が知られているが,小笠原諸島の父島,新潟県間瀬,伊豆半島北部などは著名である。酸性凝灰岩の構成鉱物として,輝沸石とほぼ同じ産状で産出することの多い斜プチロル沸石clinoptiloliteは高アルカリ,高シリカ種であってその産出量も多量であるため,沸石資源として利用されている。
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