軽羹(読み)かるかん

精選版 日本国語大辞典 「軽羹」の意味・読み・例文・類語

かる‐かん【軽羹】

〘名〙 菓子の名。すりおろしヤマノイモに、糝粉(しんこ)砂糖などを加えてこね、蒸したもの。軽いあつものの意と白い軽石のようなきめの粗さから名づけられたといわれる。鹿児島名菓
随筆一話一言(1779‐1820頃)二六「本朝紅谷志津摩家菓子譜 蒸菓子類〈略〉一 軽羹 壱箱 代六匁」

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デジタル大辞泉 「軽羹」の意味・読み・例文・類語

かる‐かん【軽×羹】

ヤマノイモをすりおろし、糝粉しんこと砂糖を合わせて蒸した菓子。鹿児島県の名菓。

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改訂新版 世界大百科事典 「軽羹」の意味・わかりやすい解説

軽羹 (かるかん)

鹿児島名物の蒸菓子。ヤマノイモをおろし,かるかん粉と呼ぶうるち米の粉と砂糖を加え,よくすり混ぜて蒸し上げる。白色のカステラ状を呈し,独特の味と舌ざわりがある。安政年間(1854-60)島津斉彬(なりあきら)が作らせたものとする説があるが,江戸日本橋本町の菓子舗,紅谷志津摩(べにやしづま)の文化7年(1810)の目録に〈軽羹 壱箱 代六匁〉と見えるから,江戸ではそれ以前から製造販売されていたことがわかる。あんを入れたかるかんまんじゅうなども作られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「軽羹」の意味・わかりやすい解説

軽羹
かるかん

鹿児島県の名菓で、特産のヤマノイモを原料とした蒸し菓子。10月から4月までの季節菓子である。軽羹の製法は、ヤマノイモ1キログラムをすりおろし、これにやや粗い粳米(うるちまい)の粉1キログラムと上白糖1.1キログラムをあわせてこね、蒸籠(せいろう)で蒸す。これだけの重量が、蒸し上がりには1キログラムほどに軽くなってしまう。軽い羹(あつもの)の意から軽羹と名づけられた。軽羹の素材で漉し餡(こしあん)をくるみ、蒸し上げたものが軽羹まんじゅうである。軽羹が鹿児島で誕生したのは1854年(安政1)である。明石(あかし)の人、八島六兵衛が江戸で仕法を学び、凮月堂(ふうげつどう)の推挙薩摩(さつま)藩御用菓子司となって鹿児島入りしたときにもたらされたといわれる。六兵衛は生国にちなみ明石屋を屋号としたが、現在では多くの店が軽羹を手がけている。

[沢 史生


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「軽羹」の意味・わかりやすい解説

軽羹
かるかん

蒸し菓子の一種。鹿児島地方の名産で,安政年間 (1854~60) ,島津公の菓子司八島六兵衛によって創作された。原料は軽羹粉 (うるち米粉) と芋と砂糖で,砂糖にやまのいもをすりおろして加え,すり混ぜ,軽羹粉を加えてよく練り,せいろうで蒸したもの。これにこしあんを入れた軽羹饅頭 (まんじゅう) も名産として賞味されている。

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百科事典マイペディア 「軽羹」の意味・わかりやすい解説

軽羹【かるかん】

蒸菓子の一種。ヤマノイモのすりおろしと粳(うるち)米の粉と白砂糖をこね合わせて蒸したもの。白色で軽く淡泊で上品な味をもつ。鹿児島の名物。

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