転込(読み)ころげこむ

精選版 日本国語大辞典 「転込」の意味・読み・例文・類語

ころげ‐こ・む【転込】

〘自マ五(四)〙
※春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉壱円紙幣の履歴ばなし「白銅貨一つは拾しが二銭の銅貨は下駄箱の下へ転(コロ)げこみて易くは取れず」
※江戸から東京へ(1921)〈矢田挿雲〉七「治兵衛は針金を引いたまま久松署へ転(コロ)げ込(コ)み」
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二「すみかへにでやうかとかんがへさいちう、あかい風がふいたのがさいはひで田まちのちゃ屋へころげこみ」
※金(1926)〈宮嶋資夫〉一〇「彼の懐に、一挙にして転(コロ)げ込(コ)んだ莫大な利得

ころがり‐こ・む【転込】

〘自マ五(四)〙
① ころがってはいってくる。ころがりながらはいりこむ。また、倒れてはいってくる。ころげこむ。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉八「敲(たた)き返された弾丸は三度に一度必ず臥龍窟邸内へころがり込む」
② あわてふためいてはいりこむ。ころげこむ。
湯葉(1960)〈芝木好子〉「息が喘ぎ、肢は空しく空転して、あせるほどもつれた。蕗は部屋へ転がりこんだ」
③ 生活に困ったりして、他の家にはいり世話になる。他人の厄介になるためにはいりこむ。ころげこむ。
落語お若伊之助(1897)〈三代目春風亭柳枝〉「私は単衣(ひとへ)物一枚で貴方の所へ転がり込んで」
④ 予期していなかった物事、特に大金などが急に手にはいる。思いがけなく手にはいる。ころげこむ。
※ゆく年(1928‐29)〈久保田万太郎〉一「大黒屋ってものの話が急にそこへころがりこんで来た」

ころがし‐こ・む【転込】

〘他マ五(四)〙
物体を回転させながら物の中に入れる。
※尋常小学読本(1887)〈文部省〉三「あやまりて取り落し、みぞの中にころがし込みたり」
② 立っているものを倒して物の中に入れる。
※落語・甲子待(1895)〈柳家禽語楼〉「一人ア水溜ん中に投(ほり)込まれ、一人ア田ん中に転がし込まれ、一人ア手を捻折られました」

こけ‐こ・む【転込】

〘自マ四〙 ころげこむ。ころがりこむ。倒れこむ。
※浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)下「鼻緒は切れてよこさまに泥田へがはとこけこんだり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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