軟マンガン鉱
なんまんがんこう
pyrolusite
二酸化マンガンの鉱物の一つ。パイロリュース鉱ともいう。既存のマンガン鉱物の風化などによって二次的に生成されるほか、温泉沈殿物などの特殊な堆積(たいせき)物として、また低温熱水鉱脈鉱床中の初生鉱物としても産し、主として乾電池用の二酸化マンガンの原料として利用される。初生鉱物として産する場合は、錐面(すいめん)をもった正方柱をなす。また、水マンガン鉱の仮晶をなすものもある。土状のものは多く不純物と混在し、結晶度も低い。英名はギリシア語の「火」(パイロ)と「流し去る」(リュース)に由来し、これをガラスなどに少量添加したとき、鉄による青色の着色が除去されることから命名された。
[加藤 昭]
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「軟マンガン鉱」の意味・わかりやすい解説
軟マンガン鉱【なんマンガンこう】
パイロルーサイトとも。組成がほとんど二酸化マンガンMnO2の鉱物。硬マンガン鉱とほぼ同成分だが,柱状または繊維状の結晶を示し,正方晶系。黒〜帯青黒色,金属〜亜金属光沢。硬度2(土状)〜6.5(結晶),比重5.15。マンガン鉱床の風化帯などに塊状,粉状で産出。特殊鋼製造に用い,純粋なものは薬品製造,乾電池に用いる。
→関連項目水マンガン鉱
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軟マンガン鉱
なんマンガンこう
pyrolusite
MnO2 。パイロルース鉱ともいう。正方晶系の鉱物。硬度は結晶形を示すもので6~6.5,塊状のものでは2ぐらい。比重 4.4~5.2。鉄黒色。金属光沢。条痕は黒色。各種マンガン鉱床の硬化帯に2次鉱物として産出するほか,大洋底から得られるマンガン団塊も軟マンガン鉱である。
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なん‐マンガンこう ‥マンガンクヮウ【軟マンガン鉱】
〘名〙 (マンガンはMangan) 二酸化マンガンを主成分とする鉱物。黒褐色・不透明でやわらかい。柱状・塊状などでマンガン鉱床の酸化帯に産する。マンガンの
鉱石。〔鉱物字彙(1890)〕
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デジタル大辞泉
「軟マンガン鉱」の意味・読み・例文・類語
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世界大百科事典内の軟マンガン鉱の言及
【酸化マンガン】より
…多数の変態がある。天然にはパイロルース鉱(軟マンガン鉱)として産する。不定比化合物で酸素が不足しており,沈殿で得たものは水を含む。…
※「軟マンガン鉱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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