(読み)ぐん

精選版 日本国語大辞典 「軍」の意味・読み・例文・類語

ぐん【軍】

〘名〙
軍隊軍勢兵隊。つわもの。
令義解(833)軍防「凡非簡点次者。〈謂。計帳之時也〉不輙取人入軍。及放人出一レ軍」
② 戦い。戦争。いくさ。
律令制の軍制で、征討の時に編制した三軍の各部隊の称。一万人以上と、九千人以下五千人以上と、四千人以下三千人以上との三種類があった。
※令義解(718)軍隊「三千人以上。減軍曹二人、各為一軍
④ 陸・海・空軍総称。軍部。国軍
⑤ 旧日本陸軍で、戦時出征に際し数個の師団をもって編制されたもの。通常、三~四個師団で編制された。軍団
⑥ スポーツなどで、一定の人数で構成された一団の者。チーム。
⑦ 「ぐんたい(軍体)」の略。
三道(1423)「三体作書条々、老・女・軍、是三体也」

いくさ【軍】

〘名〙
① 矢を射ること。射芸。
書紀(720)持統三年七月(北野本訓)「射(イクサ)を習ふ所を築く」
武人戦士。兵卒。また、軍隊。軍勢。
※書紀(720)雄略八年二月(前田本訓)「高麗王、即ち軍兵(イクサ)を発して」
③ 兵と兵とが戦い合うこと。戦争。戦闘。合戦。たたかい。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「唐土の帝のいくさに負け給ひぬべかりける時」
[語誌](1)「いく」は「的(まと)」を意味する上代語の「いくは」、また「射る」意の「いくふ」と関係があるか。接頭語の「いく(生)」との説もある。「さ」は「箭(や)」の意の「さ」とも、接尾語の「さ」とも考えられる。
(2)③の意が資料に現われるのは中古になってからであるが、この意味で多く用いられるようになるのは中世以降である。特に、「平家物語」「保元物語」など軍記物語にはこの意で用いられているものが多い。

ぐん‐・す【軍】

〘自サ変〙 軍隊の陣営を定める。陣取る。

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デジタル大辞泉 「軍」の意味・読み・例文・類語

ぐん【軍】[漢字項目]

[音]グン(慣) [訓]いくさ
学習漢字]4年
兵士の集団。戦うための組織。「軍医軍人軍隊軍部援軍海軍官軍孤軍行軍三軍将軍進軍水軍大軍友軍陸軍
戦争。いくさ。「軍記軍事軍神軍備軍略従軍
試合・競技をする一団。チーム。「東軍二軍・女性軍」
[名のり]いさ・すすむ・むら・むれ
難読軍鶏シャモ

ぐん【軍】

軍隊。「を率いる」
陸軍海軍空軍の総称。
数個軍団または師団によって構成される軍隊の編制単位。「方面
[類語]軍隊軍勢部隊

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改訂新版 世界大百科事典 「軍」の意味・わかりやすい解説

軍 (ぐん)

〈軍〉という語は古代より多様な意味で使われているが,現代的には以下のような意味をもつ。(1)いくさに備えるために設ける兵隊。(2)陸・海・空軍の総称(軍隊)。(3)軍隊編制の単位の一つで,一指揮官の下におかれた数個師団または数個軍団(数個の師団で編成)の軍隊の総称。先進諸国の軍隊は通常,数個軍団で軍を編成している。旧日本陸軍では諸外国の軍団に相当するものを軍と称した。すなわち天皇に直隷または方面軍の下に,通常3~4個師団,ときとして数個支隊で軍を編成し,人事・兵站(へいたん)等の管理機能も付与された。自衛隊では方面隊が軍に類似する機能をもっている。
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