軍港(読み)ぐんこう(英語表記)naval base

日本大百科全書(ニッポニカ) 「軍港」の意味・わかりやすい解説

軍港
ぐんこう
naval base

海軍作戦の根拠地で、艦隊がここから進攻し、かつ終始人員と軍需品の供給・修理が可能な能力を備えた港をいう。日本では1886年(明治19)の海軍条例により、日本沿岸海面は5海軍区に分かたれ、各区に軍港が設置され、その警備のための鎮守府が設けられた。1903年(明治36)5軍港は4軍港に改められ、以後敗戦時まで横須賀(第一海軍区)、呉(くれ)(第二海軍区)、佐世保(させぼ)(第三海軍区)、舞鶴(まいづる)(第四海軍区)の4港が軍港とよばれた。これら港の周辺は、軍港要港規則によって、航空、測量、撮影、一般船舶の出入り、停泊などが禁止または制限されるなど厳重な規制の下に置かれた。このほか軍港に準じた要港もあり、太平洋戦争開戦時には大湊(おおみなと)、徳山鎮海(ちんかい/チンヘ)(朝鮮)、馬公(まこう/マーコン)(台湾)、旅順(りょじゅん/リュイシュン)(中国)に所在していた。外国の軍港で名高いのは、サンディエゴノーフォーク(アメリカ)、ポーツマス(イギリス)、ブレスト(フランス)、キール(ドイツ)、クロンシュタット、ウラジオストク(ロシア連邦)など。

前田哲男

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百科事典マイペディア 「軍港」の意味・わかりやすい解説

軍港【ぐんこう】

軍事のための基地となる港。港としての好条件を備え,要塞(ようさい),ドック燃料食料貯蔵庫弾薬庫,航空基地などを配する。戦前の日本の横須賀,呉(くれ),佐世保,舞鶴がこれで,大湊(おおみなと),徳山などはこれに次ぐものとして要港と呼ばれた。これらの多くは現在海上自衛隊の基地となっている。

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デジタル大辞泉 「軍港」の意味・読み・例文・類語

ぐん‐こう〔‐カウ〕【軍港】

海軍の艦艇の根拠地となる港。旧日本海軍では、横須賀・くれ・佐世保・舞鶴の4港を軍港とし、それぞれに鎮守府を置いた。→要港
[類語]港湾波止場はとば船着き場船泊まり桟橋埠頭ふとう岸壁がんぺき築港海港河港かこう商港漁港ハーバーポート

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精選版 日本国語大辞典 「軍港」の意味・読み・例文・類語

ぐん‐こう ‥カウ【軍港】

〘名〙 海軍の艦船の根拠地としての港。旧日本海軍では、横須賀・呉・佐世保・舞鶴の四港をさした。〔軍港要港に関する制(1890)〕

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世界大百科事典 第2版 「軍港」の意味・わかりやすい解説

ぐんこう【軍港】

海軍艦船の停泊,修理,補給,乗員の休養等の恒久的施設を有する海軍基地の一種で,海軍作戦の策源地をいう。近代的な軍港としてはイギリスのポーツマスが最も古く,1194年リチャード1世が海軍基地を建設したのに始まる。その後15世紀末から軍需工場や造船所が建設され,19世紀には海軍の本拠地としての司令部が設置され,イギリス海軍の発展とともに整備されてきた。また1865年軍港に指定されたドイツのキール,1917年海軍基地に指定されたアメリカ東岸のノーフォーク,1921年第11海軍区が設置されたアメリカ西岸のサン・ディエゴもそれぞれ有名な軍港として発展し現在に至っている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「軍港」の意味・わかりやすい解説

軍港
ぐんこう

海軍基地」のページをご覧ください。

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