蹠行(読み)しょこう(英語表記)plantigrade

翻訳|plantigrade

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蹠行」の意味・わかりやすい解説

蹠行
しょこう
plantigrade

サルクマのように足の裏全体を地面につける歩き方をいう。哺乳類の歩き方は,地面への足のつけ方によって3種類に分けられるが,ネコイヌのように指だけをつけるものを趾行といい,ウマやウシのように指の先端にできたひづめをつけるものを蹄行という。3種のうちあとのものほど,地面を強く蹴るのに適応して特殊化したものと考えられる。その意味では蹠行は歩き方の基本型であり原始的である。ヒトも蹠行をするが,他の動物と違って,足の骨が靭帯で強く結合され,アーチ構造をなして土踏まずができているために体重前後に分散され,地面への荷重点も2ヵ所あることになる。そのために2本足で立ったり歩いたりしても,4本足の場合と変らない安定が得られる。

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世界大百科事典(旧版)内の蹠行の言及

【足跡】より

…〈足跡を読む〉とはふつうこの場合をいう。 足跡には足裏の接地のぐあいによって,獣の場合,蹠行(しよこう),半蹠行,趾行(しこう),蹄行の区分がある(図1)。ヒト,サル,クマのように,手のひら,足裏全部(かかとまで)をつけてのっしのっしと歩く場合が蹠行であり,アナグマやイタチのように,足裏の半分ほどは接地するが,かかとはつかない歩き方が半蹠行である。…

【アライグマ(洗熊)】より

…前・後脚とも器用に動く5指を備え,つめは長く鋭い。蹠行(しよこう)性(指骨と中足(ちゆうそく)骨の部分を地につけて歩く)で,足跡は人間のそれと形がよく似ている。 低地から標高2500mまでの水辺近くの森林に好んで生息する。…

【足∥肢】より

…哺乳類では,手首・足首より先の部分の形態はそれぞれの動物の移動様式に対応して,いくつかの型に分けることができる。この部分の全体を地面につけて歩くのが歩行様式の原型で,これを蹠行(せきこう)(食虫類,霊長類,齧歯(げつし)類,食肉類のクマ類など)と呼ぶ。それに対して,指の部分だけを地面につける様式を趾行(しこう)(食肉類の大半),指がひづめに覆われそこだけを地につけて歩くのを蹄行(ていこう)(奇蹄類,偶蹄類)といい,これらの型は地面の上を疾走するのに最も適している。…

※「蹠行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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