足揃(読み)あしぞろえ

精選版 日本国語大辞典 「足揃」の意味・読み・例文・類語

あし‐ぞろえ ‥ぞろへ【足揃】

〘名〙
① 人または馬の足並みを揃えて、列を正しくすること。また、多くの人がある事のために集まって揃うこと。勢ぞろえ。
※俳諧・二息(1693)「父母の忌日一家の足ぞろへ」
② 五月五日の賀茂の競馬(くらべうま)に先だって、五月一日に出場の馬を揃えて乗り試み、左右の番組を定めた儀式。《季・夏》
言継卿記‐永祿二年(1559)五月一日「其外奉公衆、奉公衆五六十人祗候。賀茂足そろへ御見物之御供也」
※咄本・狂歌咄(1672)一三「五月朔を足揃(アシソロヘ)と名づく。廿四疋の馬をかざり、前後の鬮をとり、馬場の左右に埒をゆひ」
③ 京坂地方の劇場で、顔見世に先だち、一座の俳優が太夫元方、または舞台に勢揃いして、太夫元から盃を受け、各自一芸を演じて太夫元に盃を返す儀式。元祿から寛延(一六八八‐一七五一)にかけて行なわれた。後には初日の前日に衣装をつけずにする総稽古の意に用いた。
※評判記・難波の㒵は伊勢の白粉(1683頃)二「太夫もとの足揃(あしゾロエ)いづれもうれしき物の揃なり」
疱瘡(ほうそう)が出尽くすこと。
随筆・卯花園漫録(1809)三「文穆先生の文集に、疱瘡の次第をとけり。報痘はあしそろえ也」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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