足子(読み)あしこ

精選版 日本国語大辞典 「足子」の意味・読み・例文・類語

あし‐こ【足子】

〘名〙 中世、座の商人に従属して、その商圏なか商品運搬および小売りにあたった者。鈴鹿関をはさむ近江伊勢街道筋に多かった。商売足子(あきないあしこ)。足子商人。
今堀日吉神社文書‐天文一八年(1549)一二月四日・神人足子日記「二百文 川寺三人 三十二文 同足子一人」

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改訂新版 世界大百科事典 「足子」の意味・わかりやすい解説

足子 (あしこ)

室町・戦国時代,座商人などの依頼をうけて商品の運搬などに従事したり,座商人に一定の貢納を行って行商の権利を与えられた小商人。《今堀日吉神社文書》などによれば,近江の蒲生神崎甲賀の諸郡,湖北から若狭に至る九里半街道沿い,伊勢の北部地方には多数の足子が散在していたことがわかる。近江の蒲生郡得珍保(とくちんのほ)(現滋賀県東近江市,旧八日市市)のいわゆる保内座商人は若狭,伊勢,京都地方との隔地間取引に従事していたが,行商に際しては周辺地域に居住する数十名の足子を動員した。また伊勢行商に際しては伊勢の桑名四日市,梅戸,丹生川などに分布する20名近くの足子を駆使していた。彼らは近江の保内座商人の伊勢行商に際しての商品運送,商売の下請,桑名,四日市の問屋近江商人との仲介,斡旋などの役割を果たしたものと思われる。彼らが足子商人として商売する場合は,蒲生郡下大森郷足子が,保内座商人に年貢銭400文を納付している例から考えて,一定の納付金を特権的座商人に納めることを強制されていたものと考えられる。
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