汚染物質が国境を越えて運ばれ、非発生国に被害をもたらすこと。代表例が酸性雨で、ヨーロッパではイギリスやドイツなどの工業地帯を中心に多く排出された硫黄酸化物や窒素酸化物によって、その地域だけでなく遠く離れた北欧の森林も大きな被害を受けた。同様にアメリカ五大湖周辺の工業地帯を発生源とする大気汚染により、カナダも酸性雨被害を受けた。大気汚染だけでなく、ライン川、ドナウ川などの国際河川を通じた水質汚濁問題、海洋汚染も越境汚染の一種として知られる。
日本では偏西風に乗って中国大陸から飛来する汚染物質が問題となっている。中国の急激な工業化に伴い、2007年(平成19)春から夏に、西日本を中心に光化学スモッグ注意報が発令された。2013年にも関東を含む広域で黄砂とともに汚染物質が飛来、超微粒汚染物質「PM2.5」がメディアなどで話題になった。2001年から日本の発案で設立された東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)が稼動しているが、欧米に比べて立ち遅れている国際的な観測ネットワークの充実、越境汚染を軽減するためのルールづくりが課題になっている。
[編集部]
(饒村曜 和歌山気象台長 / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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