(読み)キ

デジタル大辞泉 「起」の意味・読み・例文・類語

き【起】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]おきる おこる おこす たつ
学習漢字]3年
おきあがる。高くせりあがる。「起居起床起伏起立突起勃起ぼっき躍起隆起
仕事・活動を始める。おこす。「起工起訴起草喚起継起決起惹起じゃっき想起提起奮起発起
物事の始まり。「起因起句起源起点縁起えんぎ
[名のり]おき・かず・ゆき

き【起】

漢詩で最初の句。起句。「承転結」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「起」の意味・読み・例文・類語

お・きる【起】

〘自カ上一〙 お・く 〘自カ上二〙
① 横になっていたものが立つ。傾いていたものがもとの状態にもどる。
※百法顕幽抄平安中期点(900頃)「地に因りて倒れぬるいは、還りて地に因りて起(オクル)ことを須ゐる」
※平家(13C前)八「左右の袖をひろげておきんおきんとすれども、なじかはおきらるべき」
② 眠っていたものがめざめる。また、めざめて立つ。寝床を離れる。
万葉(8C後)一二・二九一四「うつくしと思ふ我妹(わぎも)を夢に見て起(おき)て探るに無きがさぶしさ」
③ 眠らないでいる。また、横にならないでいる。
※万葉(8C後)一九・四一七一「常人も起(おき)つつ聞くそほととぎすこの暁(あかとき)に来鳴く初声」
④ 水が来て舟が浮かび出る。
鹿苑院殿厳島詣記(1389)「二十日〈略〉しほのひてゐたる船の、しほ満ちて浮かぶをば、おくるといふにこそ」
⑤ 穏やかな状態のところに、それを騒がせるような物事が生じる。
※人さまざま(1921)〈正宗白鳥〉「良三なぞに話したって甲斐がないと思ひながら、ふと起きて来た体内の疼(いた)みを口に洩らした」
⑥ 火気が盛んになる。また、炭に火が移る。「火がおきる」
※ニッポン日記(1951)〈井本威夫訳〉一九四五年一二月二五日「皺だらけの婆さん女中が、真っ赤におきた木炭火鉢に入れにきた」
⑦ あるものごとに由来する。端を発する。
茶話(1915‐30)〈薄田泣菫〉紋「紋所といふもの、もとは車の紋から起(オ)きたといふ説があるが」

おこし【起】

〘名〙 (動詞「おこす(起)」の連用形名詞化)
① 寝ている人の目をさまさせたり、立たせたりなどすること。
② 田や畑をたがやすこと。
※俳諧・続猿蓑(1698)秋「起しせし人は迯けり蕎麦の花」
③ 花札で、めくり札を開いて場札と合わせること。
暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉三「何でもおこしで打ち当てようといふのですよ」

おこり【起】

〘名〙 (動詞「おこる(起)」の連用形の名詞化) 物事の始まり。物事の原因。起源。起因。由来。
源氏(1001‐14頃)桐壺「唐土(もろこし)にも、かかる事のおこりにこそ、世も乱れ悪しかりけれ」
無名抄(1211頃)「或人云、和琴のおこりは、弓六張をひきならへて、これを神楽にもちゐけるを、わづらはしとて、のちの人のことにつくりうつせると申つたへたるを」

き【起】

〘名〙
① きわめて短い時間。瞬間。刹那(せつな)。〔勝鬘経‐一乗章〕
※授業編(1783)七「第一句を起(キ)と云言起すなり」

おき【起】

〘名〙 (動詞「おきる(起)」の連用形の名詞化) 目がさめること。また、横になっている状態からからだをおこすこと。
千五百番歌合(1202‐03頃)一二五八番「あひ見てもなごりをじまのあま人はけさのおきにぞ袖ぬらしける〈藤原良平〉」

おっき【起】

〘名〙 起きることをいう幼児語
※童謡・イエス・キリスト(1924)〈サトウハチロー〉「起(オ)っきしたのとマリアさま」

お・く【起】

〘自カ上二〙 ⇒おきる(起)

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改訂新版 世界大百科事典 「起」の意味・わかりやすい解説

起 (おこし)

尾張国(愛知県)中島郡,木曾川東岸の平地の村で,美濃路七ヵ宿の一つ。地名の初出は1320年(元応2)で〈興郷〉とある。1586年(天正14)の洪水で被害をうけたが,1600年(慶長5)関ヶ原の戦直後に宿駅とされ,08年には木曾川起渡に船頭給として60石を除地,60年(万治3)以後は船頭20人が常置された。72年(寛文12)の人口102戸587人,1867年(慶応3)に246戸1172人。本陣1軒,脇本陣1軒で1845年(弘化2)262軒のうち旅籠屋・茶屋・木賃宿14軒,往還人足・川揚中瀬稼22軒とある。この年織屋職45軒,綛(かせ)賃くり稼18軒など織物業従事者70軒を数えるように,18世紀中ごろ西陣からさんとめ縞の技術が伝わり,菅大臣縞,結城縞へと変遷して幕末ごろには尾西織物の中心地となった。明治以後モスリン,フランネル,ラシャなどを経て毛織物生産に移っていった。96年町制をしき起町,1955年尾西市,2005年一宮市となった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「起」の意味・わかりやすい解説


おこし

愛知県北西部,一宮市南西部の旧町域。 1955年朝日村と合体して尾西市となったのち,2005年一宮市に編入。美濃路の宿場町で,本陣,脇本陣,問屋などをもち,近くに美濃路の富田一里塚 (国指定史跡) がある。また木曾川の渡船場としても発展。江戸時代から木曾川の自然堤防上ではワタが栽培され,綿織物や結城縞などの絹織物の産地であった。明治末期から綿毛交織のモスリンなども生産された。一般に中小の家内工業が多い。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【木曾川】より

…後期になると,細目村の黒瀬湊が木曾川遡航(そこう)の終着地として商業の中心地となった。上流には,そのほか小山,川合,取組,犬山,中流には草井,円城寺,笠松,北方,起(おこし)などの港,河岸が発達し,起が美濃路の宿,渡船場として発展した。 中流の尾濃両国の地に南北朝のころから浄土真宗が広まりはじめ,尾張中島郡江吉良の良心が1361年(正平16∥康安1)に覚如から,津島の慶専が91年(元中8∥明徳2)に綽如(しやくによ)から本尊絵像を受けている。…

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