赤引(読み)あからひく

精選版 日本国語大辞典 「赤引」の意味・読み・例文・類語

あから‐ひく【赤引】

(「ひく」は「引く」で、帯びる意を表わし、「あからひく」は赤くなるの意。実景描写を兼ねて用いる)
① 夜が明けていく意で、「日」「朝」「昼」にかかる。
万葉(8C後)四・六一九「ぬばたまの 夜はすがらに 赤羅引(あかラひく) 日も暮るるまで 嘆けども」
赤みを帯びた美しい肌の意で、「肌」や「子」にかかる。
※万葉(8C後)一〇・一九九九「朱羅引(あかラひく)色妙(しきたへ)の子をしば見れば人妻ゆゑに我(あれ)恋ひぬべし」

あから‐ひ・く【赤引】

連語〙 (前項枕詞「あからひく(赤引)」を、後世、動詞的に用いたもの)
① 赤い薄絹着物を見せながら通る。
読本南総里見八犬伝(1814‐42)四「吾儕(わなみ)に跟(つき)てとく来ねと、窃(ひそか)こころを得さしつつ、轎子(かご)を扛(つら)して赤羅引(アカラヒク)
② 赤い色をつらねる。
※続春夏秋冬(1906‐07)〈河東碧梧桐選〉夏「赤ら引く柿の狂ひや秋隣〈幾句拙〉」

あか‐ひき【赤引】

〘名〙
皇太神宮儀式帳(804)「赤引生糸四十斤」

あから‐ひき【赤引】

〘名〙 赤い色を帯びること。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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