日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤い靴(映画)」の意味・わかりやすい解説
赤い靴(映画)
あかいくつ
The Red Shoes
イギリス映画。1948年作品。マイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーの共同監督。アンデルセンの童話に発想を得て、バレエの世界を華麗に描いた第二次世界大戦後のイギリス映画を代表する名作。彗星(すいせい)のごとく現れた名バレリーナが、芸術と愛情との板挟みの果てに自ら命を絶つまでが描かれる。劇中に挟まれた十数分に及ぶバレエ「赤い靴」の幻想的シーンが圧倒的。撮影にカラー撮影の第一人者ジャック・カーディフJack Cardiff(1914―2009)があたったのをはじめ、装置デザインはハイン・ヘックロスHein Heckroth(1901―1970)、音楽はブライアン・イースデイルBrian Easdale(1909―1995)、俳優にはバレエ団の団長役のアントン・ウォルブルックAnton Walbrook(1896―1967)のほか、モイラ・シアラーMoira Shearer(1926―2006)、ロバート・ヘルプマンRobert Helpman(1909―1986)、レオニード・マッシンLeonid Massine(1896―1979)、リュドミラ・チェリーナLudmilla Tcherina(1924―2004)といった高名なバレエダンサーたちをそろえ、パウエルとプレスバーガーのコンビがそれをみごとに統轄した。アカデミー美術監督・装置賞、音楽賞受賞。
[宮本高晴]