赤いクメール(読み)あかいクメール(英語表記)Khmer Rouge

翻訳|Khmer Rouge

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「赤いクメール」の意味・わかりやすい解説

赤いクメール
あかいクメール
Khmer Rouge

クメール・ルージュともいう。本来は N.シアヌークカンボジアの共産主義的反体制勢力に対して用いた総称であるが,狭義にはベトナム共産党の影響からの自立を目指し 1960年に創設されたカンプチア共産党をさし,その指導者の名前をとってポル・ポト派 (→ポル・ポト ) とも呼ばれる。ベトナム共産党の流れをくんで 51年に成立した人民革命党は親ベトナム派で平和共存路線をとったが,ポル・ポト派は当初から対ベトナム自立と武装闘争路線に傾斜していた。同派は,最初シアヌーク政権に対して,次いで 70年にクーデター実権を掌握したロン・ノル政権に対してゲリラ戦を挑み,75年ついに首都プノンペンを制圧した。共産主義国家「民主カンプチア」の樹立を宣言したポル・ポトらは反都市,反貨幣経済,反知識人という徹底した農本主義的共産主義改造を強行し,おびただしいカンボジア国民の生命を奪った。その結果,78年 12月にはベトナム軍の侵攻を招き,赤いクメールはタイ国境付近の農村に追いやられた。その後はゲリラ戦を展開していたが離反者が相次ぎ勢力は後退,98年4月にポル・ポトが死亡したことにより活動は事実上停止した。

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