賦課・積立方式(読み)ふかつみたてほうしき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「賦課・積立方式」の意味・わかりやすい解説

賦課・積立方式
ふかつみたてほうしき

年金制度の財政方式を表すことば。賦課方式は、ある時点で必要になる年金財源を、そのときの現役世代が保険料として負担する仕組み。世代間の助け合い方式ともよばれる。この方式は、現役世代の人口が多く、高齢者が少ないピラミッド型の人口構成社会では無理なく機能するが、少子高齢化で逆ピラミッド型の人口構成社会になったときには運営が厳しくなる。

 これに対し、積立方式は将来必要になる年金財源をあらかじめ保険料で積み立てていく方式。人口変動の影響は受けにくいものの、長期間積み立てるので、インフレなど社会経済的な要因の影響を大きく受ける。

 日本はある程度の積立金を保有してはいるものの、基本的には賦課方式を採用している。少子高齢化を受けて、積立方式へ移行すべきだとの意見もあるが、その場合、現役世代は高齢者の年金原資を拠出しながら、自らの将来の年金のための保険料も負担する必要があり、二重の負担という大きな問題が立ちふさがる。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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