貴金属合金(読み)ききんぞくごうきん(英語表記)noble metal alloy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貴金属合金」の意味・わかりやすい解説

貴金属合金
ききんぞくごうきん
noble metal alloy

貴金属を主成分とする合金。金,銀は比重が大きく耐食性,展延性はよいが高純度のものは軟らかすぎるので,実用には多くの場合,銅などとの合金とする。金は装身具,歯科合金以外に LSIの配線 (ボンディングワイヤー) ,リードフレームのメッキ用にも使用される。銀は銅 10~25%の合金として装身具,貨幣のほか,銅 16~34%,鉛4~16%の銀ろう,パラジウム 25%の歯冠用,スズ 20%に水銀を加えたアマルガム銀の歯科充填用などがあり,電気接点用は Ag-W,Ag-Mo,Ag-Niなどの高融点対摩耗性合金とする。白金族6元素は互いに固溶体合金をつくり,それぞれ工業的用途が広い。よく知られたのは Pt-PtRh,Pt-PtIrの高温温度計用熱電対で,PtRhおよび PtIrはいずれもロジウムイリジウムを 10~20%含み,1600℃までの使用に耐える。その他歯科合金,電気接点,火薬導火線,ガラス封着線,人造糸紡糸ノズルなどとしても白金合金の用途は広い。 Pd-Ir合金は白金代用品で,歯科用合金,電気接点に用いる。白金 77%の Pt-Co,Pt-Fe合金は高保磁力磁性材料である。 Pt-Au合金はホワイトゴールドと称し,装身具に用いるが,白金はパラジウムでも代用できる。なお合金ではないが,白金が化学実験用るつぼ,こし網,炎色反応用の線に使われる。白金族元素 (およびニッケル) は粉末焼結して触媒によく使われる。

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