貪欲(読み)ドンヨク

デジタル大辞泉 「貪欲」の意味・読み・例文・類語

どん‐よく【貪欲】

[名・形動]《古くは「とんよく」とも》非常に欲が深いこと。むさぼって飽くことを知らないこと。また、そのさま。「貪欲知識を吸収する」「貪欲な男」
[派生]どんよくさ[名]
[類語]欲張り欲深強欲がめつい胴欲慳貪あこぎ多欲貪婪業突く張り

たん‐よく【貪欲】

[名・形動]どんよく(貪欲)」に同じ。
「汝の―を遂んとするも」〈織田訳・花柳春話

とん‐よく【貪欲】

仏語三毒十悪の一。欲望にまかせて執着しむさぼること。貪。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「貪欲」の意味・読み・例文・類語

どん‐よく【貪欲】

〘名〙 (形動) (「どん」は「貪」の慣用音。古くは「とんよく」)
① 物欲・金銭欲・食欲が強く、手に入れたものではなかなか満足せず、さらに欲しがること。欲の深いこと。また、そのさま。胴欲。たんよく。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「当時の博士(はかせ)あはれ浅く、とんよく深くして」 〔史記‐李斯伝〕
② 新たな知識や技能を非常に熱心にとり入れようとするさま。
※大導寺信輔の半生(1925)〈芥川龍之介〉六「智的貪慾(ドンヨク)を知らない青年はやはり彼には路傍の人だった」
[語誌](1)中世末のキリシタン資料のローマ字表記から、当時は清音「とんよく」であったことが確認される。「どんよく」への変化については、「貪」を持つ漢語には「ドン」の慣用音を持つ語形が少なからずあったこと、中世には広く用いられていたと思われる「慳貪」が「日葡辞書」ですでに「Qendon(ケンドン)」の音形であることなどから、その「ドン」の音への類推がはたらいた可能性もある。
(2)中近世においては「胴欲」が口頭語であったのに対して、「貪欲」は文章語であったと見られている。

たん‐よく【貪欲】

〘名〙 (形動) 欲の深いこと。よくばり。どんよく。
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉三二「汝の貪欲(タンヨク)を遂んとするも」

とん‐よく【貪欲】

〘名〙 (「とん」は「貪」の呉音) =とん(貪)
三教指帰(797頃)中「身離臭塵、心絶貪慾」 〔法華経‐譬喩品〕

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普及版 字通 「貪欲」の読み・字形・画数・意味

【貪欲】たんよく

慾が深い。

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