貢調使(読み)コウチョウシ

デジタル大辞泉 「貢調使」の意味・読み・例文・類語

こうちょう‐し〔コウテウ‐〕【貢調使】

奈良平安時代四度しど使つかいの一。諸国から毎年献納する調雑物などの品目数量を記した調帳を、現物とともに朝廷に運納する使い。調使調庸使調進使

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精選版 日本国語大辞典 「貢調使」の意味・読み・例文・類語

こうちょう‐し コウテウ‥【貢調使】

〘名〙 令制で、四度使一つ。諸国の調、庸、雑物を記した調帳を調庸と共に政府に運納する使い。その時期は、近国は一〇月三〇日、中国は一一月三〇日、遠国は一二月三〇日以前とした。調使。調庸使。調進使。調帳使。〔正倉院文書‐天平五年(733)一一月・出雲国計会帳

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「貢調使」の意味・わかりやすい解説

貢調使
こうちょうし

律令(りつりょう)時代、地方政治の実態中央政府に報告するため上京した四度使(よどのつかい)の一つ。調庸の現物とともに、調帳、庸帳をはじめとする公文(くもん)を京進(きょうしん)し、監査を受ける。近国は10月30日、中国は11月30日、遠国は12月30日以前に上京するものと規定されていた。

[福岡猛志]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「貢調使」の解説

貢調使
こうちょうし

調使・運調使とも。四度使(よどのつかい)の一つ。諸国の調庸物は近国は10月末,中国は11月末,遠国は12月末(夏調の糸は7月末)以前に国司官人によって京進される。これを貢調使といい,調庸物を実際に運搬する綱丁(こうちょう)や運脚が従った。同時に調帳とその枝文(えだぶみ)を提出し,主計寮で照合・監査が行われた。775年(宝亀6)に調庸専当国司の目(さかん)以上をあてることとし,781年(天応元)にはその名を計帳使に報告させるなど,きびしく監督した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貢調使」の意味・わかりやすい解説

貢調使
こうちょうし

律令制度の四度使 (よどのつかい) の一つ。調,庸,雑物の運上を主とし,租帳,調帳,庸帳,運調脚帳,匠丁帳,浮浪帳などの枝文 (えだぶみ) をも太政官に提出した。原則として国司目以上をこの任にあてた。使は国の遠近により 10月から 12月までに入京,上申し,返抄を受けた。返抄なく帰国する使は給与を奪われ,のちの昇進にさしつかえた。

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世界大百科事典(旧版)内の貢調使の言及

【輸租帳】より

…租帳ともいう。貢調使が関係帳簿とともに中央に提出した。717年(養老1)5月に大計帳,青苗簿(せいびようぼ)などの帳簿と同様に輸租帳の記載様式が諸国に頒布された。…

【四度使】より

…(1)日本古代の律令制のもとで,国衙(こくが)の政務などを報告するため,毎年定期に上京する4種の使者。朝集使(ちようしゆうし),大帳使(だいちようし)(計帳使とも),貢調使(こうちようし),正税帳使(しようぜいちようし)をさす。いずれも国司がその任にあたるが,朝集使のみ四等官にかぎられ,他は史生(ししよう)などの雑任(ぞうにん)でもよかった。…

※「貢調使」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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