貞観政要(読み)じょうがんせいよう

精選版 日本国語大辞典 「貞観政要」の意味・読み・例文・類語

じょうがんせいよう ヂャウグヮンセイエウ【貞観政要】

中国雑史。一〇巻。唐の呉兢(ごきょう)撰。玄宗の開元八年(七二〇以後成立太宗と群臣間に行なわれた政治論議を四〇門に分類編集したもの。治国安民の政治理想を主旨とし、帝王学治道規範の書として歴代皇帝・政治家の必読書とされ、日本でも天皇貴族の間で読まれた。

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デジタル大辞泉 「貞観政要」の意味・読み・例文・類語

じょうがんせいよう〔ヂヤウグワンセイエウ〕【貞観政要】

中国、太宗と家臣たちとの政治上の議論を集大成し、分類した書。10巻。唐の呉兢ごきょう撰。720年以降成立。治道の規範書として歴代皇帝の必読書とされ、日本でも広く読まれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「貞観政要」の意味・わかりやすい解説

貞観政要
じょうがんせいよう

中国、唐の太宗と魏徴(ぎちょう)・房玄齢(ぼうげんれい)ら群臣との政治上の議論を、君道、政体、任賢、求諫(きゅうかん)などの40編に分類、編集した書。10巻。唐の呉兢撰(ごきょうせん)。名君といわれる太宗李世民(りせいみん)は、国内の安定と民力の回復に力を注ぎ、貞観の治とよばれる太平の時代を生み出したが、好んで諫言(かんげん)に耳を傾け、専横に陥るのを防いだ。本書は、武韋(ぶい)の禍(か)の混乱を経験した中宗・玄宗の時代に、太宗の治政を鑑(かがみ)とする意図でつくられた。一説では、最初に中宗に上進した初進本がつくられ、ついで開元年間(713~741)の初めに、改編して玄宗に上進され、世に公にされた再進本がつくられた。以後、旧時代の為政者教科書として、中国、朝鮮、日本で広く読まれた。通行本は、元末に戈直(かちょく)が校訂して注を施し、宋(そう)代知識人の本書に対する評論を集めた集論本であるが、誤脱が多く、編章も原本の順序とは相違があるといわれる。原田種成(たねしげ)は日本に伝わる唐鈔(とうしょう)本系統の写本などを基にして『貞観政要定本』(1962)をつくり、戈直本の誤りを正した。

[金子修一]

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改訂新版 世界大百科事典 「貞観政要」の意味・わかりやすい解説

貞観政要 (じょうがんせいよう)
Zhēn guān zhèng yāo

中国,唐の貞観年間(627-649)に,太宗が群臣と政治上の得失を問答した言や群臣たちの事跡を分類編纂した書。10巻,40編。唐の史家呉兢(670-749)撰。武后,韋后による政治混乱を経験した時期に,〈貞観の治〉を顕彰せんとする意図で編まれたので,史書としてよりも治道の要諦を説いた政治教科書としての色彩が濃い。中国のみならず朝鮮や日本の為政者に広く読まれた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貞観政要」の意味・わかりやすい解説

貞観政要
じょうがんせいよう
Zhen-guan zheng-yao; Chên-kuan chêng-yao

中国,唐の太宗と臣下の問答や彼らの事跡を分類編纂し,為政者の参考とした書。盛唐の史官呉競撰。景竜3 (709) 年中宗に上進,のち修訂して玄宗に再進した。君道,政体以下 40編,10巻。太宗の貞観年間 (627~649) は善政の典型と仰がれ,その言行は君臣の模範とされたので,この書は後代までよく読まれた。日本でも王朝時代以来天皇,貴族たちに講読された。日本に古写本が多く伝わるほか,元の戈直 (かちょく) が注と議論を加えたテキストが流布した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「貞観政要」の解説

貞観政要
じょうがんせいよう

唐の太宗李世民 (りせいみん) と近臣が貞観時代に行った政治上の問答を集めた書。『貞観故事』ともいう
玄宗のとき,呉兢 (ごきよう) の撰になる。10巻。40編に分類されている。貞観は太宗の年号。帝王学の教科書として,中国だけでなく日本でも古くから読まれた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「貞観政要」の解説

『貞観政要』(じょうがんせいよう)

唐の玄宗頃の呉兢(ごきょう)の撰。10巻。唐の太宗と臣下との政治上の論議を集録したもので,帝王学の教科書として,中国のみならず日本でも広く読まれた。

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