豹変(読み)ひょうへん

精選版 日本国語大辞典 「豹変」の意味・読み・例文・類語

ひょう‐へん ヘウ‥【豹変】

〘名〙 (「易経‐革卦」の「上六、君子豹変小人面」による語。豹の毛が季節によって抜け変わり、斑文も美しくなるように、君子は時代の変化に適応して自己を変革する、また一説に、善人は心から過ちを改め善にうつる、という意から) 境遇・性行態度意見などが、がらりと変わること。元来は善い方に変わる意であるが、転じて、悪い方に変わる場合、無節操な態度などにも用いられる。
扶桑集(995‐999頃)七・右親衛源亜将軍忝見賜新詩〈略〉敢献鄙懐〈橘在列〉「豹変蹔蔵南嶺霧
坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉八「特別の理由もないのに豹変しちゃ、将来君の信用にかかはる」

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デジタル大辞泉 「豹変」の意味・読み・例文・類語

ひょう‐へん〔ヘウ‐〕【×豹変】

[名](スル)《「易経」の「君子豹変す、小人は面をあらたむ」による語。豹の斑文がくっきりしているように、君子ははっきりと過ちを改めるという意から》人の態度や性行ががらりと変わること。本来はよいほうへ変わるのに用いたが、現在では、よくないほうへ変わる意味でいうことが多い。「相手を見て態度を豹変させる」
[類語]一変一転急転急変激変心機一転変わる変ずる化する改まる移る移ろう動く変える化ける変化する転化する変質する様変わりする変転する変動する変移する移行する推移する変遷する転変する流転する

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故事成語を知る辞典 「豹変」の解説

豹変

がらりと態度を変えること。

[使用例] 彼はせめて言葉附だけでもいかつく、ませたものにしようと骨を折った。彼の取って付けたような豹変の態度に、弱いものはおびえて敬遠し出した[岡本かの子*食魔|1941]

[由来] 「易経―革」に見える、「君子は豹変す(立派な人物は、豹の毛が季節によって抜け替わり、模様が美しくなるように、過ちがあればすぐ改めるものだ)」ということばから。本来は、よい方向に態度を変えることですが、現在では、悪い方向に態度を変える場合に、よく用いられます。

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