精選版 日本国語大辞典 「象」の意味・読み・例文・類語
ぞう ザウ【象】
〘名〙 ゾウ科に属する哺乳類の総称。体高二・五~三・五メートル。体はきわめて大きく、現存の陸生動物中最大。全体に灰色ないし灰黒色で皮膚は厚く体毛はほとんどない。四肢(しし)は太く柱状。耳は葉状で大きいが目は小さい。鼻と上くちびるが管状になって長くのび、水を吸い、手の働きをするほか攻撃の具にもなる。上あごの門歯が口外に長くのびて牙となり、象牙(ぞうげ)と呼ばれる。草食性で、力は強大。アジアゾウとアフリカゾウの二種が現存し、それぞれに属する亜種セイロンゾウ・マルミミゾウが著名である。マルミミゾウは耳の形などが他の亜種と異なるために、別の種とされる場合もある。中新世(約二〇〇〇万年前)ごろから栄えた動物で、多くの化石種がある。象牙は種々の細工物に利用。白象は、普賢菩薩(ふげんぼさつ)の使いと信じられ、菩薩の乗り物として名高い。古名、きさ。
※観智院本三宝絵(984)下「又普賢菩薩をみて象にのりて頂をなでたり」
※幸若・高たち(室町末‐近世初)「しし、さう、虎のほうる声かくやとおもひしられたり」 〔史記‐大宛伝〕
しょう シャウ【象】
〘名〙
※自然真営道(1753頃か)大序「文字始二於易卦爻一〈略〉做レ之以二事物理象皃似一作二諸字一、以レ貝作二宝字類一」
② 易であらわれたかたち。占形(うらかた)。〔易経‐繋辞下〕
③ (のり、てほんの意) 道理。人間が守らなければならないおきて。規則。法律。
※米沢本沙石集(1283)一〇末「文を尊ぶ故に、人文を学でいつはり多し。されば五帝の象(シャウ)をたれ、蒼頡(さうけつ)か書をつくり」 〔史記‐楽書〕
きさ【象】
〘名〙 象(ぞう)の古名。
※大智度論平安初期点(850頃か)三四「善勝白象(キサ)を下りて、怨家に施与して」
※名語記(1275)六「けだもののきさ、如何。答、象をきさといへり」
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