豊道春海(読み)ぶんどうしゅんかい

改訂新版 世界大百科事典 「豊道春海」の意味・わかりやすい解説

豊道春海 (ぶんどうしゅんかい)
生没年:1878-1970(明治11-昭和45)

書家。栃木県の人。僧籍に入り,浅草華徳院の住職を経て天台宗大僧正にいたる。本名は慶中。別号は海翁。14歳のとき西川春洞師事,六朝風の気迫にみちた雄渾書風で各体に長じ,とりわけ骨格の正しい楷書は世に賞された。また大字揮毫を得意とした。戦前戦後を通じ,書道界の重鎮として活躍,日展に五科(書)を創設。芸術院会員,文化功労者に選ばれた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「豊道春海」の意味・わかりやすい解説

豊道春海
ぶんどうしゅんかい
(1878―1970)

大正・昭和の書家。栃木県那須(なす)郡佐久山町(現大田原市)に川上茂平の三男として生まれる。名は慶中。幼名は寅吉(とらきち)。6歳で仏門に入り、13歳で出家得度、ついで東京・牛込行元寺(ぎょうがんじ)の妙澄尼に請われて豊道家を継ぐ。14歳で西川春洞(しゅんどう)に師事、書を学ぶ。1914年(大正3)瑞雲(ずいうん)書道会を創立。47年(昭和22)に日本芸術院会員となり、翌年、書道が日展第5科に新設されるとともに、理事に就任、また第二次世界大戦後の書道教育の復興にも努めた。書は漢字をよくし、気骨ある雄大な書風を樹立。東京国立博物館ならびに栃木県立博物館に遺墨が収蔵されている。天台宗大僧正(だいそうじょう)。67年文化功労者。

[古谷 稔]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「豊道春海」の解説

豊道春海 ぶんどう-しゅんかい

1878-1970 明治-昭和時代の書家,僧。
明治11年9月1日生まれ。23年東京の天台宗華徳院住職。24年より書を西川春洞にまなぶ。日本書道作振会,泰東書道院創立の中心となる。昭和22年芸術院会員。日展書部門の開設,日本書道連盟の結成などにつくした。42年文化功労者。昭和45年9月26日死去。92歳。栃木県出身。旧姓は川上。幼名は寅吉。法名は慶中。別号に海翁,竜渓。

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