豊田三郎(読み)とよださぶろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「豊田三郎」の意味・わかりやすい解説

豊田三郎
とよださぶろう
(1907―1959)

小説家。埼玉県生まれ。本姓は森村。東京帝国大学独文科卒業。1933年(昭和8)田辺茂一(もいち)経営の紀伊國(きのくに)屋書店に入り、『行動』を編集。自らも行動主義に沿って、都市インテリ青年の野心とその挫折(ざせつ)を描いた『弔花(ちょうか)』(1935)などの小説を発表。36年野口冨士男(ふじお)らと『作家精神』を、小松清(きよし)らとは『行動文学』をそれぞれ創刊。41年高見順(じゅん)らと報道班員としてビルマ(現ミャンマー)戦線従軍、その体験は小説『行軍』(1944)に生かされている。没後に小説集『好きな絵』(1963)刊行。作家森村桂(かつら)は長女

[遠矢龍之介]

『『現代日本文学全集87 昭和小説集(2)』(1958・筑摩書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「豊田三郎」の解説

豊田三郎 とよだ-さぶろう

1907-1959 昭和時代の小説家。
明治40年2月12日生まれ。森村桂(かつら)の父。「行動」編集長となり,昭和10年「弔花」で行動主義文学の代表的作家のひとりとなる。16年陸軍報道班員として従軍,その体験を「行軍」にかく。戦後作品に「仮面天使」など。昭和34年11月18日死去。52歳。埼玉県出身。東京帝大卒。本名は森村三郎。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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