豊島(読み)としま

精選版 日本国語大辞典 「豊島」の意味・読み・例文・類語

としま【豊島】

[一] 武蔵国の旧郡名。明治一一年(一八七八)北豊島・南豊島の二郡に分割。のち、南豊島郡東多摩郡と合併して豊多摩郡となり、昭和七年(一九三二)両郡ともに東京市に合併された。
[二] ((一)に由来) 東京都二三区の一つ。昭和七年(一九三二)北豊島郡巣鴨・西巣鴨・高田長崎の四町が東京市に合併されて成立。池袋駅周辺は東京の副都心の一つ。台地上は立教大学・学習院などのある文教・住宅・商業地区。

てしま【豊島】

[一] (「手島」とも表記する) 摂津国の古郡名。大阪府池田市・豊中市箕面市・豊能町一帯にあたる。
[二] 香川県北東部、小豆島直島諸島の間にある島。面積一四・六平方キロメートル。島中央にある檀山(三四〇メートル)は豊島石の採掘と、弘法大師法壇を設けたという伝説で知られる。

とよしま【豊島】

姓氏の一つ。

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デジタル大辞泉 「豊島」の意味・読み・例文・類語

て‐しま【豊島】

香川県北東部、小豆しょうどなおの間にある島。備讃びさん諸島の一。面積14.5平方キロメートル、周囲19.8キロメートルで、小豆島につぐ県内第2の島。畑作と沿岸漁業が行われる。典型的な開析溶岩台地で、豊島石とよばれる凝灰角礫岩ぎょうかいかくれきがん灯籠とうろうなど石細工物に利用される。瀬戸内海国立公園の一部。

としま【豊島】

東京都の区名。副都心の一つ池袋繁華街、目白の文教地区を含み、巣鴨にとげぬき地蔵などがある。人口28.5万(2010)。

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日本歴史地名大系 「豊島」の解説

豊島
てしま

小豆島西部に小豊おで島とともに並ぶ島。南西に香川郡なお島、南は高松市男木おぎ島を望む。中央にだん(三三九・八メートル)がそびえ、北東岸に唐櫃からと、北西岸に家浦いえうら、南岸に甲生こうの集落が散在する。島の南端礼田れいだ崎には縄文時代早期の貝塚があり、西南岸の神子みこヶ浜・ゆう浜など、縄文時代から弥生時代にかけての遺物散布地が多い。小島にもかかわらず比較的水田が多く、古来小豆島に比して自給自足の可能な島といわれる。

豊島
とよしま

[現在地名]弓削町豊島

弓削島の東南四キロに位置する孤島で、魚島うおしま村の高井神たかいかみ島とのほぼ中間にある。面積は一平方キロに満たないが、最高点は一〇八・六メートルもあり、地形は険しく、とくに南岸は断崖となっている。人家は北側の山の中腹に散在する。

もと無人島で、上弓削かみゆげ村の漁場および採草地であった。他村からの侵入を防止するため、幕末に山番を兼ねて浜田・菅谷氏が入植したが、浜田氏は一代、菅谷氏は二代で帰村した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「豊島」の意味・わかりやすい解説

豊島
てしま

香川県北部、小豆(しょうど)島と直(なお)島間にある島。小豆(しょうず)郡土庄(とのしょう)町に属す。面積14.50平方キロメートル。典型的なメサ型溶岩台地で、最高点の檀山(だんやま)(340メートル)を中心とした台地面はよく耕されている。とくに唐櫃岡(からとおか)集落は、安山岩の下の凝灰角礫(かくれき)岩層からの湧水(ゆうすい)で低地海岸部よりも水田耕作が発達している。この凝灰角礫岩は豊島石とよばれ、加工しやすくコケもつきやすいので、香川県では灯籠(とうろう)など石細工物に利用している。島の北部に突出する虻崎(あぶざき)は第三紀の化石の宝庫で、とくに貝の化石が多い。北西岸の家浦(いえうら)が中心集落で砂浜海岸もあり、海水浴用の民宿も発達している。島の東半部は属島小豊(おて)島とともに瀬戸内海国立公園の一部。家浦港と唐櫃港から、土庄港、宇野港、高松港への定期船便がある。1978年(昭和53)から産業廃棄物の不法な投棄が行われ、住民の抗議運動が続いていたが、1990年(平成2)に兵庫県警が業者を摘発、以後、全国的な注目を集めた。1993年、豊島住民は国の公害調停を申請、それ以降調停作業が続いていたが、2000年、香川県が産業廃棄物の撤去を行うことと、知事が住民に対し謝罪したことでいちおうの決着をみた。人口1066(2009)。

[坂口良昭]

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改訂新版 世界大百科事典 「豊島」の意味・わかりやすい解説

豊島 (てしま)

香川県小豆(しようど)島の西にある島。小豆(しようず)郡土庄(とのしよう)町に属する。面積14.61km2,人口1042(2008)。開析溶岩台地が島の大部分を占め,最高点の檀山は標高340mで,基盤の花コウ岩の上に凝灰角レキ岩や讃岐岩質安山岩の層がのっている。凝灰角レキ岩は通称豊島石と呼ばれ,加工しやすくコケがつきやすいので石灯籠や庭石に珍重され,石材業が島の重要産業となっている。この凝灰岩層に湧水帯があり,水田が高所まで発達している。漁業や酪農業も盛んである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「豊島」の意味・わかりやすい解説

豊島
てしま

香川県北部,小豆島の西にあるテーブル型の開析された溶岩台地の島。土庄町に属する。最高点は壇山(340m)。花崗岩上に凝灰角礫岩,讃岐岩質安山岩が重なり,一部に中新統海成層の土庄層群がある。凝灰角礫岩は豊島石と呼ばれ,墓石,灯籠などに使われる。この岩石層からの湧水を利用して,北東斜面に水田がみられる。平坦な頂上にはオリーブ園がある。片山愛樹園のソテツは島の古木として保護されている。島の一部は瀬戸内海国立公園に属する。土庄と宇野を結ぶフェリーが寄港。面積 14.49km2。人口 1327(2000)。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「豊島」の解説

豊島

正式社名「豊島株式会社」。英文社名「Toyoshima & Co., Ltd.」。卸売業。天保12年(1841)創業。大正7年(1918)「株式会社山一商店」設立。昭和17年(1942)現在の社名に変更。本社は名古屋市中区錦。繊維専門商社。綿花・羊毛などの原料から原糸・テキスタイル・製品までを販売。米・欧・アジアに事業拠点を展開。

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デジタル大辞泉プラス 「豊島」の解説

豊島

広島県呉市、下大崎群島に属する島。「とよしま」と読む。大崎下島の西に位置し、豊浜大橋で結ばれている。面積約5.67平方キロメートル。島中央部に鐘つき堂のある「空海展望台」がある。ミカン栽培が盛ん。

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