谷頭侵食(読み)こくとうしんしょく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「谷頭侵食」の意味・わかりやすい解説

谷頭侵食
こくとうしんしょく

谷の最上流部、すなわち谷頭で行われる侵食作用。頭部侵食、後退侵食ともいう。谷頭部では風化重力に基づく崩壊によって谷壁斜面が上流側に後退し、それに伴って谷が上流側に延びていく。風化物質や崩壊物質はおもに布状流によって運び去られる。谷頭の後退は分水界の移動と流域の拡大をもたらす。谷頭侵食が活発に行われると隣接する流域を蚕食し、河川争奪がおこることもある。谷頭侵食は、既存の谷が上流に向かって働きかけるだけでなく、谷壁に新しく雨溝が発生した場合にもそこから上流に向けて谷を発達させる。関東地方東部の常総台地などにはこの種の支谷の谷頭侵食によって発達した無従谷がみられる。

[髙山茂美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android