谷川俊太郎(読み)タニカワシュンタロウ

デジタル大辞泉 「谷川俊太郎」の意味・読み・例文・類語

たにかわ‐しゅんたろう〔たにかはシユンタラウ〕【谷川俊太郎】

[1931~ ]詩人。東京の生まれ。哲学者谷川徹三の子。昭和27年(1952)、初の詩集「二十億光年の孤独」で脚光を浴びる。以降、詩作のほか劇作、作詞、評論、海外児童文学の翻訳などで幅広く活躍。詩集「六十二のソネット」「世間知ラズ」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「谷川俊太郎」の意味・わかりやすい解説

谷川俊太郎
たにかわしゅんたろう
(1931― )

詩人。東京に生まれる。父は哲学者谷川徹三(てつぞう)。都立豊多摩(とよたま)高校卒業。1952年(昭和27)に第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。宇宙感覚を伴った鋭く繊細な感受性を凝縮させ、脚光を浴びる。戦後詩の新星として詩壇に彗星(すいせい)のように登場した。翌年、同人誌『櫂(かい)』に参加。以後、人気を有する詩人として、また同時に先鋭的で実験的な詩の書き手として、現代詩の最前線で活躍する。戦後詩人のなかでもっとも幅広い読者に支持されているといってもいいだろう。詩集に『六十二のソネット』(1953)、『落首九十九』(1964)、『定義』(1975)、『夜中台所ぼくはきみに話しかけたかった』(1975。『定義』とともに第6回高見順賞を受賞するも辞退)など。その後も既成の詩概念への疑問を織り込んだ『コカコーラ・レッスン』(1980)、『日々の地図』(1982。読売文学賞)、『よしなしうた』(1985。現代詩花椿(はなつばき)賞)、『女に』(1992。丸山豊記念現代詩賞)、『世間知ラズ』(1993。第1回萩原朔太郎(さくたろう)賞)などを発表した。選詩集に現代詩文庫『谷川俊太郎詩集』『続・谷川俊太郎詩集』『続続・谷川俊太郎詩集』ほかがあり、2000年(平成12)にはCD‐ROM『谷川俊太郎全詩集』が出た。エッセイ集・詩論集に『愛のパンセ』(1957)、『世界へ!』(1959)など、ほかに多くの対談集もある。また『日本語のおけいこ』(1965)、詩集『ことばあそびうた』(1973)など多数の絵本童話があり、日本翻訳文化賞を受賞した『マザー・グースのうた』5冊(1975~1976)、チャールズ・シュルツCharles Monroe Schulz(1922―2000)の漫画『ピーナツ』、レオ・レオニLeo Lionni(1910―1999)作の絵本の翻訳など子供の世界でも広く親しまれている。戯曲『いつだって今だもん』(1986)で斉田喬戯曲賞受賞。ほかにシナリオ、「鉄腕アトム」などの作詞、映画制作なども手がける。自作詩朗読、国際詩祭への参加、海外への朗読旅行、長男で音楽家の谷川賢作(1960― )との共演など、他分野でも多彩な活動を続けている。

[吉田文憲]

『『現代詩文庫27 谷川俊太郎詩集』(1969・思潮社)』『『現代詩文庫108 続・谷川俊太郎詩集』(1993・思潮社)』『『現代詩文庫109 続続・谷川俊太郎詩集』(1993・思潮社)』『『定義』(1975・思潮社)』『『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』(1975・青土社)』『堀内誠一・絵『マザー・グースのうた』第1~5集(1975~1976・草思社)』『『コカコーラ・レッスン』(1980・思潮社)』『『日々の地図』(1982・集英社)』『『日本傑作絵本シリーズ ことばあそびうた』(1982・福音館書店)』『『詩集 よしなしうた』(1985・青土社)』『『愛のパンセ』(1986・三笠書房)』『佐野洋子・絵『女に―谷川俊太郎詩集』(1991・マガジンハウス)』『『世間知ラズ』(1993・思潮社)』『『うたのほん 日本語のおけいこ』復刻版(1995・理論社)』『『二十億光年の孤独』(2000・日本図書センター)』『『ひとり暮らし』(2001・草思社)』『『風穴をあける』(2002・草思社)』『『谷川俊太郎詩集』新版(2002・思潮社)』『『谷川俊太郎詩集<続>』新版(2002・思潮社)』『『六十二のソネット』(講談社+α文庫)』『栗原敦著『谷川俊太郎』(『研究資料現代日本文学7』所収・1980・明治書院)』『大岡信・谷川俊太郎編『現代の詩人 谷川俊太郎』(1983・中央公論社)』『思潮社編・刊、谷川俊太郎著『谷川俊太郎のコスモロジー』(1988)』『チャールズ・M・シュルツ著、谷川俊太郎訳『A Peanuts book featuring Snoopy』1~26(1990~2000・角川書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「谷川俊太郎」の意味・わかりやすい解説

谷川俊太郎
たにかわしゅんたろう

[生]1931.12.15. 東京
詩人。哲学者谷川徹三の長男。詩集『二十億光年の孤独』(1952)で三好達治の推賞を受け,以後『愛について』(1955),『絵本』(1956)などを発表。日本的感性とモダニズムの融合した詩的世界を拡大した。絵本作家,翻訳家,作詞家としても活躍。代表作に風刺のきいた短詩集『落首九十九』(1964),『旅』(1968),『定義』(1975),『コカコーラ・レッスン』(1980),『メランコリーの川下り』(1989)など。訳詩集『マザー・グースのうた』(1975)で日本翻訳文化賞受賞のほか,詩集『日々の地図』(1982)で第34回読売文学賞,『よしなしうた』(1985)で第3回現代詩花椿賞,『世間知ラズ』(1993)で第1回萩原朔太郎賞,『トロムソコラージュ』(2009)で第1回鮎川信夫賞,『詩に就いて』(2015)で第11回三好達治賞など受賞多数。

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百科事典マイペディア 「谷川俊太郎」の意味・わかりやすい解説

谷川俊太郎【たにかわしゅんたろう】

詩人。東京生れ。父は哲学者谷川徹三。豊多摩高校卒。1952年《二十億光年の孤独》で詩壇に登場。《櫂》《歴程》などに参加した。詩作にとどまらず,わらべうた,童話,歌詞,戯曲,エッセー,翻訳など,さまざまな領域を横断して活躍を続けている。いずれもきわめて評価が高く,受賞作品多数。代表作に詩集《六十二のソネット》(1953年),《落首九十九》(1972年),訳詩集《マザーグースのうた》(1975年)など。
→関連項目大岡信

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「谷川俊太郎」の解説

谷川俊太郎 たにかわ-しゅんたろう

1931- 昭和後期-平成時代の詩人。
昭和6年12月15日生まれ。谷川徹三の子。昭和27年「二十億光年の孤独」で登場。以来,詩のほか劇,ラジオドラマ,絵本などを活発に創作する。50年訳詩集「マザー・グースのうた」で日本翻訳文化賞,58年詩集「日々の地図」で読売文学賞,平成5年「世間知ラズ」で萩原朔太郎賞。8年朝日賞。18年詩集「シャガールと木の葉」「谷川俊太郎詩選集1~3」で毎日芸術賞。22年「トロムソコラージュ」で鮎川信夫賞。23年北京大など主催の現代詩賞「中坤国際詩歌賞」を受賞。東京出身。豊多摩高卒。

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