谷地(読み)ヤチ

デジタル大辞泉 「谷地」の意味・読み・例文・類語

やち【谷地/谷/野地】

やつ(谷)」に同じ。
「そのかみは―なりけらし小夜きぬた/公羽」〈続猿蓑

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日本歴史地名大系 「谷地」の解説

谷地
やち

[現在地名]河北町谷地

最上川左岸にあり、中世以来山形盆地北部の一中心で、近世にはいくつかの村に分立したが、そのうちの町部の総称とされ、村山郡第二の商業地として栄えた。明治二〇年(一八八七)近世分立していた八村が合併し、再び谷地村を称した。現在はほぼ近世の八村を継承する住居表示に分けられている。その住居表示とそれに含まれる通称は次のものである。こう(大町・桜町・土慶小路・前小路)おつ(前小路・長表)へい(新町・高関・舞台)てい(荒町・東町)(松橋)(上工藤小路・内楯・要害)かのえ(下工藤小路・弥勒寺)しん(北口・横町・吉野)

古くは谷後といったとする説もある(「白鳥系図」茂木文書)天文五年(一五三六)八月一日の願文(熊野那智大社文書)に「出羽国最上谷地」とある。この史料は斎藤牛田左近大夫藤原長実ら谷地の住人一〇名が竹本坊を先達とした熊野参詣に際し、奉納した願文である。同七年二月五日刻銘の西川にしかわ町の長登ちようとう寺鍛鉄製燭台銘に「大工谷地之住人俊吉作」とある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「谷地」の意味・わかりやすい解説

谷地
やち

山形県中央部、西村山郡河北町(かほくちょう)の中心地区。旧谷地町。室町時代の白鳥(しらとり)氏の城下町起源の在町で、江戸時代以降は最上川(もがみがわ)の河岸として栄え、紅花(べにばな)や草履表(ぞうりおもて)などの生産とその集散地であった。国道287号が通じ、347号を分岐する。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「谷地」の意味・わかりやすい解説

谷地
やち

沢,湿原などの湿地に対する呼称。多くは地下水面が高く,排水が悪い状態の場合に生じる。高水位時に河川が氾濫して冠水する谷底平野や河川の後背湿地,2つの海岸砂丘の間の低地なども湿地を形成しやすい。湖が時間の経過とともに,周辺からの運搬物の堆積で浅くなり,湖の終末状態となった湿原も存在する。高冷地では,湿地中に泥炭が堆積する場合が多い。

谷地
やち

山形県,山形盆地の西部,河北町の中心集落。旧町名。寒河江川扇状地の北部にあり,最上川船着場として栄え,ベニバナや米の取引が盛んであった。かつては全国一の草履表の集散地であり,現在ではスリッパの製造が地場産業となっている。

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百科事典マイペディア 「谷地」の意味・わかりやすい解説

谷地【やち】

〈やつ〉〈やと〉とも。関東,東北地方低湿地のことをいう。台地,丘陵が浸食されてできた谷底の低湿地,砂丘間の低湿地など。泥炭地をさすこともある。

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