讃岐山脈(読み)サヌキサンミャク

デジタル大辞泉 「讃岐山脈」の意味・読み・例文・類語

さぬき‐さんみゃく【讃岐山脈】

香川・徳島県境を東西に走る山脈。最高峰竜王山で、標高1060メートル。阿讃あさん山地。

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日本歴史地名大系 「讃岐山脈」の解説

讃岐山脈
さぬきさんみやく

西日本の地質構造を二分する中央構造線に沿って、吉野川(県内河川延長一〇八・一〇九キロ)とその支流である馬路うまじ(同六・五キロ)の北方を約一〇〇キロにわたって東西方向に延びる山脈。徳島県(旧阿波国)と香川県(旧讃岐国)との境をなし、阿讃あさん山脈、阿讃山地とも称される。最高峰は美馬みま郡美馬町と香川県香川郡塩江しおのえ町・同県仲多度なかたど琴南ことなみ町との境界に位置する龍王りゆうおう(一〇五九・九メートル)で、標高一〇〇〇メートルを超えるのはほかに三好みよし三野みの町と琴南町との境にある大川だいせん(一〇四二・九メートル)だけである。山脈は西に向かうほど標高が高くなるが、これは四国島の地殻変動に伴う隆起量と関係している。四国霊場八十八ヵ所の第六六番札所のある三好郡池田いけだ町の雲辺寺うんぺんじ山をはじめ、大川山・龍王山、美馬郡わき大滝おおたき山、同郡美馬町三頭さんとう山、脇町・阿波郡阿波町境の妙体みようたい山、阿波郡市場いちば町の城王じようおう山、板野いたの上板かみいた町のおお山、鳴門市大麻おおあさ山などには山頂部に神社仏閣などが祀られ、山岳信仰との結びつきが強い。

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百科事典マイペディア 「讃岐山脈」の意味・わかりやすい解説

讃岐山脈【さぬきさんみゃく】

香川・徳島両県境にある山脈。中央構造線の内側をほぼ東西に走る地塁山地で,長さ約100km,おもに白亜紀和泉砂岩,ケツ岩からなる。南側は吉野川の谷,北側は花コウ岩の丘陵地に接する。最高点は竜王山(1060m)。土讃線は猪ノ鼻峠,高徳線大坂峠で山脈を横切る。
→関連項目香川[県]さぬき[市]讃岐平野塩江[町]徳島[県]土成[町]長尾[町]三木[町]三野[町]美馬[町]三好[町]山本[町]脇[町]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「讃岐山脈」の意味・わかりやすい解説

讃岐山脈
さぬきさんみゃく

四国地方北東部の香川県と徳島県の境界を東西に連なる山脈。阿讃山地(あさんさんち)ともよばれる。山脈の最高峰は中央部にある竜王山(1060メートル)で、ここから東・西に向かってしだいに高度を減じている。おもな山に大川山(だいせんざん)(1043メートル)、大滝山(946メートル)、雲辺寺(うんぺんじ)山(927メートル)がある。この地域には中生代白亜紀の砂岩と頁岩(けつがん)の互層からなる和泉層群(いずみそうぐん)が広く分布し、南麓(なんろく)には中央構造線が、北麓にはいくつかの衝上(しょうじょう)断層がみられる。山脈は早壮年期の地形を示し、山頂の一部には平坦(へいたん)面を残し、V字谷が発達する。山脈の北側斜面に比べて急傾斜をなしている南側斜面では、吉野川の支流である曽江谷(そえだに)川、日開谷(ひがいだに)川などの急流河川が流下し、開析の進んだ隆起扇状地が発達する。一方、山脈の北側斜面では、財田(さいた)川、土器(どき)川、香東(こうとう)川などがその源を発し、放射状をなして讃岐平野を流下する。ここでは細長い谷が山稜(さんりょう)と同じ方向に発達するが、これはもろい頁岩や泥岩の地層が侵食を受け、比較的固い砂岩の地層が残されてできた差別侵食による地形と考えられている。曼陀(まんだ)峠、猪鼻(いのはな)峠、真鈴(ますず)峠、三頭越(さんとうごえ)、相栗(あいぐり)峠、大坂峠などは讃岐山脈を南北に結ぶ古くからの重要な峠で、現在もJR土讃線、高徳線、国道11号、32号、193号などの主要交通路が香川県と徳島県を結んでいる。北側斜面には内場(ないば)池をはじめ多くの貯水池が築かれ、塩江(しおのえ)・美霞洞(みかど)温泉などがある。

新見 治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「讃岐山脈」の意味・わかりやすい解説

讃岐山脈
さぬきさんみゃく

香川県徳島県の県境をなす傾動地塊。通称阿讃山地。南麓を中央構造線の大断層が切って急斜面となり,北部が緩傾斜面となっている。北部には基盤の花崗岩類が露出し,鮮新世から更新世の礫層を載せる山麓の緩斜面が続く。山体の大部分は上部白亜系の和泉層群の礫岩,砂岩,泥岩の互層で,選択浸食によるケスタ状の尾根や谷底低地が続く。山頂部に狭い浸食平坦面が残る早壮年期末期の山地。最高点は竜王山の 1060m。香川県の貴重な水源地であり,希少動植物の生育地としても重要。古来,阿波と讃岐を結ぶ大坂,相栗,曼陀など多くの峠があり,大坂峠を JR高徳線,猪鼻峠を JR土讃線と国道32号線がトンネルで抜けるほか,国道11号線,193号線,318号線,438号線などが山脈をこえて香川県と徳島県を結んでいる。

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改訂新版 世界大百科事典 「讃岐山脈」の意味・わかりやすい解説

讃岐山脈 (さぬきさんみゃく)

香川県の南部を占め,徳島との県境に沿ってほぼ東西に走る山脈。その主分水嶺は阿波と讃岐の境界をなすので,阿讃(あさん)山地とも呼ばれる。南縁は中央構造線の断層,北縁も数条の断層によって画され,不完全地塁山地をなす。西日本内帯に属するが,山脈の北側の丘陵が,中国山地と同様,花コウ岩からなるのに対し,讃岐山脈の山体は,水成岩の上部白亜系の和泉層群からなり,レキ岩,砂岩,ケツ岩の互層をなしている。また地形的には,山頂部に平たん面を残す早壮年期の山容を呈すなど,外帯の性格を帯びている。山脈の中央部には,最高峰の竜王山(1060m)をはじめ大川山,大滝山など標高900m以上の山が連なり,東西に向かって低下する。山脈の北側の丘陵は山麓階状をなし,浸食谷にはダムや溜池も多く,讃岐平野の水源地となっている。南側には高位平たん面が多く,日当りもよいので山頂近くまで集落の発達がみられ,山麓には中央構造線の断層に伴う破砕帯が現れている。
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世界大百科事典(旧版)内の讃岐山脈の言及

【香川[県]】より

讃岐国
[おだやかな自然風土]
 香川県の地形は南から北へ,山地部,平野部,島嶼部の三つに大きく分けられる。南部の山地は阿波と讃岐の境をなす讃岐山脈で,早壮年期のおだやかな山容を示し,最高峰の竜王山(1060m)を中心に大滝山,雲辺寺山などの高峰が東西に並ぶ。この山脈は和泉層群という水成岩からなる地塁で,徳島県側の南麓には中央構造線の大断層が横切っている。…

※「讃岐山脈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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