譲葉(読み)ゆずりは

精選版 日本国語大辞典 「譲葉」の意味・読み・例文・類語

ゆずり‐は ゆづり‥【譲葉】

[1] 〘名〙
トウダイグサ科の常緑高木。本州の宮城県以西の太平洋側、四国、九州の暖地に生え、庭木とされる。高さ約六メートル。若い枝と葉柄は普通紅色を帯びる。葉は枝先に集まってつき披針形で長さ一五~二〇センチメートル、全縁で質が厚い。雌雄異株。春、葉腋に花被のない淡黄色の小花を房状につける。花後、楕円形で長さ約一センチメートルの果実を結び、暗青色に熟す。樹皮の煎じ汁を駆虫薬に用い、葉は正月の飾りにする。北海道と本州の日本海側には低木エゾユズリハが分布し、福島県以南の海岸には、葉の小さなヒメユズリハが生える。新葉と旧葉の交代がよく目立つところからの名。また、父から子に財産を譲るという意味から、新年や祝事の飾りものとして珍重される。漢名に交譲木・楠をあてる。ゆずるは。《季・新年》
※枕(10C終)四〇「ゆづり葉の、いみじうふさやかにつやめき、茎はいとあかくきらきらしく見えたるこそ」
② 模様の一つ。①を図案化したもの。
※浮世草子・好色一代男(1682)六「かたには注連縄・ゆづり葉・おもひ葉数をつくし、紫の羽織に紅の綷紉(くけひほ)を結びさげ」
[2] (楪葉) 能楽淡路(あわじ)」の古名

ゆずる‐は ゆづる‥【譲葉】

〘名〙 =ゆずりは(譲葉)(一)①
万葉(8C後)一四・三五七二「何(あ)ど思へか阿自久麻山の由豆流波(ユヅルハ)の含(ふふ)まる時に風吹かずかも」

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デジタル大辞泉 「譲葉」の意味・読み・例文・類語

ゆずり‐は〔ゆづり‐〕【譲葉/交譲葉/×楪】

ユズリハ科の常緑高木。本州中部以西の山林自生。葉は長楕円形でつやがあり、裏面は白緑色で、柄は赤く、枝先に集まって互生する。雌雄異株。初夏黄緑色の小花をつけ、実はやや丸くて藍色。庭木とし栽培される。新葉が出てから古い葉が落ちるので、新旧相ゆずるという縁起を祝って新年の飾り物に使う。交譲木。 新年》「―や口にふくみて筆はじめ/其角

ゆずる‐は〔ゆづる‐〕【譲葉】

ユズリハの古名。
「あどへか阿自久麻山あじくまやまの―のふふまる時に風吹かずかも」〈・三五七二〉

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動植物名よみかた辞典 普及版 「譲葉」の解説

譲葉 (ユズリハ・ユズルハ)

学名Daphniphyllum macropodum
植物。ユズリハ科の常緑高木,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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