警察犯処罰令(読み)けいさつはんしょばつれい

百科事典マイペディア 「警察犯処罰令」の意味・わかりやすい解説

警察犯処罰令【けいさつはんしょばつれい】

現行刑法のもと旧刑法が想定していた違警罪を内務省令(1908年)を以て,警察犯処罰令として別個に,30日未満の拘留または20円未満の科料に処せられる軽微な罪を規定した。しばしば乱用された弊もあり,第2次大戦後の1948年に軽犯罪法が施行され,本令は廃止された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「警察犯処罰令」の意味・わかりやすい解説

警察犯処罰令
けいさつはんしょばつれい

明治 41年内務省令 16号。旧刑法にみられた重罪軽罪違警罪区別が,現行刑法では廃止されたため,旧違警罪に相当する犯罪類型が削除されてしまった。そこで 1908年に旧違警罪関係を収録して制定されたものである。 48年に軽犯罪法が制定された際に廃止された。

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世界大百科事典(旧版)内の警察犯処罰令の言及

【違警罪】より

…同年公布の治罪法は違警罪を管轄する裁判所として治安裁判所を予定したが実現せず,85年に,警保寮職制章程(1872),違式詿違条例(いしきかいいじようれい)などを前身として,違警罪につき警察署長またはその代理たる官吏が即決処分により処罰しうる権限・手続を定めた違警罪即決例(太政官布告31号)が成立した。1907年公布の刑法は旧刑法の犯罪分類を廃したが,刑法施行法31条は拘留・科料にあたる罪を他法適用上は違警罪とみなし,従前の諸規定も翌年の警察犯処罰令に再編された。違警罪即決例は,警察犯処罰令などと相まって,犯罪捜査や不当拘禁・弾圧の手段として濫用された。…

【軽犯罪法】より


[沿革と問題点]
 同種立法は1873年の違式詿違(いしきかいい)条例などにさかのぼる。その後,旧刑法(1880公布)が第4編に拘留,科料にあたる違警罪としてこの種の規定を取り込んだが,現行刑法(1907公布)が違警罪という範疇を廃したのに伴い,1908年に,〈命令ノ条項違犯ニ関スル罰則ノ件〉(1890年公布の法律)および〈閣令省令庁府県令及警察令ニ関スル罰則〉(1890年公布の勅令)を根拠に,内務省令として,警察犯処罰令が制定され,旧違警罪71種は整理,改訂を加えられて警察犯(58種)としてこの中に再編された。同処罰令は第2次大戦後まで存続し,1947年に公布された〈日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律〉によって,翌年5月2日までなお一時的に法律としての効力を認められた後,内容的にも形式的にも日本国憲法の理念を受けた軽犯罪法に換えられることとなった。…

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