日本大百科全書(ニッポニカ) 「諸葛瑾」の意味・わかりやすい解説
諸葛瑾
しょかつきん
（174―241）
中国、三国呉(ご)の官僚。字(あざな)は子瑜(しゆ)。琅邪(ろうや)郡陽都(ようと)県（山東(さんとう)省沂南(ぎなん)県）の人。蜀(しょく)の丞相(じょうしょう)諸葛亮(しょかつりょう)（孔明(こうめい)）の兄。亮が伯父の玄(げん)に連れられて荊州(けいしゅう)に逃れたとき、すでに太学(たいがく)を出ていた諸葛瑾は、継母とともに江東(こうとう)に渡った。やがて孫権(そんけん)の姉婿の弘咨(こうし)から、非凡さを高く評価され、孫権に魯肅(ろしゅく)と並んで賓客として待遇された。魯肅と瑾との交友により、弟の亮は、魯肅を仲介として劉備(りゅうび)と孫権の同盟を結ぶことができた。亮が劉備の軍師であったため、「劉備に寝返るのではないか」と孫権に告げるものもあったが、孫権は「瑾がわたしを裏切らないのは、わたしが瑾を裏切らないのと同じである」と深く瑾を信頼していた。孫権が呉の皇帝に即位すると、大将軍・左都護(さとご)に任命され、重臣として孫権を支えた。しかし、瑾の死後、息子の恪(かく)が、孫権の子である孫亮(そんりょう)のもと専権を振るったため、一族皆殺しにされた。そののち、亮のもとに養子に出ていた喬(きょう)の子である攀(はん)が、蜀より戻って家を再興した。
［渡邉義浩］
『渡邉義浩著『「三国志」軍師34選』（PHP文庫）』
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