論議・論義(読み)ろんぎ

精選版 日本国語大辞典 「論議・論義」の意味・読み・例文・類語

ろん‐ぎ【論議・論義】

〘名〙
① (━する) 論じはかること。問答によって理非を明らかにすること。意見を述べ、論じ合うこと。また、その論。議論。
※三代実録‐貞観三年(861)八月七日「明経博士等奉内殿、論義如常」
※数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〈藤沢利喜太郎〉「Discuss 論議スル」 〔史記‐平原君伝〕
② (━する) 仏語。
(イ) 経論の要義を問答すること。しばしば法会の行事として行なわれ、次第に儀式化された。
※日本後紀‐弘仁四年(813)正月戊辰「最勝王経講畢、延高学僧十一人於殿上論義」
※宇津保(970‐999頃)国譲下「僧綱達、名ある智者どもなど召して、ろむぎなどせさせ給ふ」
(ロ) 十二分経の一つ。優婆提舎(うばだいしゃ)のこと。
※正法眼蔵(1231‐53)仏教「十二分教〈略〉十二者優婆提舎 此云論議
声明(しょうみょう)の一種。②(イ)が形式化されて一定の唱え方がそなわったもの。④のもとになった。
※羅葡日辞書(1595)「Antiphona〈略〉シャウミャウヲ ronguini(ロンギニ) ウタウ コトヲ ユウ」
④ 能の構成部分の一つ。問答形式の部分で、地謡もしくはワキツレとシテが掛け合いで謡う。中入前か終曲に位置するものが多い。
※習道書(1430)「老声若音の論議のてうしのこじつ、ずいぶん仕立候也」
[語誌](②について) 梵語 upadeśa (ウパデーシャ)すなわち「優婆提舎」の漢訳語。
(イ) では、論題を定める役を「探題」、試問に当たるものを「問者」、これに答えて教義を論ずる者を「竪者(立者)」という。論議の方法から、一対一で行なうものを「番(つがい)論議」と呼び、論議を行なう場所から、宮中で行なう「内論議」、仙洞で行なう「仙洞論議」、法会から「報恩講論議」などと呼んでいる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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