請・乞(読み)こう

精選版 日本国語大辞典 「請・乞」の意味・読み・例文・類語

こ・う こふ【請・乞】

〘他ハ四〙
他者に、物を与えてくれるよう求める。
古事記(712)中・歌謡前妻(こなみ)が 肴(な)許波(コハ)さば 立柧棱(たちそば)の 実の無けくを 扱(こ)きしひゑね」
万葉(8C後)一八・四一二二「みどり児の 乳(ち)許布(コフ)が如く」
② 望みがかなうように神仏に求める。祈る。
書紀(720)皇極元年七月(岩崎本平安中期訓)「敬びて雨を祈(コハ)しむへし」
※万葉(8C後)一五・三六八二「天地(あめつち)の神を許比(コヒ)つつ吾(あれ)待たむ早来ませ君待たば苦しも」
③ ある事の実現を他人に願い求める。願い望む。
※書紀(720)神代上(寛文版訓)「請(コ)フ、姉(なねのみこと)天国(あまつくに)を照(てら)し臨(のそ)みたまはんこと」

こい こひ【請・乞】

〘名〙 (動詞「こう(請)」の連用形名詞化)
① 他人に物などを所望すること。
古今(905‐914)夏・一六七・詞書「隣よりとこ夏の花をこひにおこせたりければ」
② ある事を人に願い求めること。〔名語記(1275)〕
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石松本の話「彼女の請(コヒ)を快よく引受けた」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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