課業(読み)かぎょう(英語表記)task

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「課業」の意味・わかりやすい解説

課業
かぎょう
task

労働者が一定時間内になし終えるべき標準作業量。 F. W.テーラー科学的管理法以前は,この課業が経験のみに頼る非科学的方法で設定されたので,この課業設定あるいはこれが大きな影響を与える賃率設定をめぐって労使間の紛争が絶えなかった。テーラーは,目の子算的課業設定が引起した経営者側の賃率切下げと,それに対処する労働者側の組織的怠業というこの労使問題を解決するために,時間研究によって作業に要する時間を測定し,科学的に標準作業量すなわち課業を設定する方法を考案した。

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精選版 日本国語大辞典 「課業」の意味・読み・例文・類語

か‐ぎょう クヮゲフ【課業】

〘名〙 なすべきものとして割り当てられた、また、割り当てた仕事や学科
※東宝記(1352)「毎年九月廿四日、於金剛峯寺定課業得度
ヰタ・セクスアリス(1909)〈森鴎外〉「学校の課業はむつかしいとも思はなかった」 〔宋史‐李絢伝〕

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デジタル大辞泉 「課業」の意味・読み・例文・類語

か‐ぎょう〔クワゲフ〕【課業】

なすべきものとして割り当てられた仕事や学業。「学校の課業
[類語]勤めにん任務義務責任責務本務使命役目やく役儀ぶん本分職分職責責めノルマ日課

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世界大百科事典 第2版 「課業」の意味・わかりやすい解説

かぎょう【課業 task】

労働者が一定時間内に遂行すべき標準作業量のことで,タスクまたはノルマとも呼ばれる。ただしロシア語のノルマnormaは,社会主義企業において労働者に課せられる標準作業量が本来の意味である。課業は,合理的な生産管理および労務管理を行うための最も基本的かつ重要な情報の一つであり,課業の合理的な設定は生産管理,労務管理の不可欠の前提である。今日では課業は,通常,作業についての動作研究と時間研究によって,次のように科学的に設定される。

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世界大百科事典内の課業の言及

【科学的管理法】より

…その結果,労使の対立が激化・拡大した。テーラーの方法は,労使双方が合意できる方法で賃率を定めようとしたもので,科学的手法により作業を分析し,〈公正な1日の作業量である課業task〉を設定,賃率の基礎としようとした。テーラーの課業=目標の設定手法は,作業を要素作業に分割し,おのおのの作業時間をストップウォッチで測定し標準化したのち,合計して一定の余裕率を乗じて標準時間とするものであった。…

【経営・経営管理】より


[科学的管理]
 その一環に先述のF.W.テーラーがいた。彼は1903年発表の《工場管理》で,工場管理の課題を低労務費・高賃金の実現に求め,1日の作業量=課業taskを動作研究・時間研究によって科学的に算出し,課業達成者には高賃率の賃金,そうでない者には低賃率の賃金を与えるという提案を行った。この場合の課業は,中心的な作業それぞれについて熟練労働者を5~6人から7~8人集めて作業を行わせ,動作研究を通して最速最適な動作のつながりをそのなかから発見し,これを標準的な仕事のやり方として確定する。…

※「課業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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