証券監督者国際機構(読み)しょうけんかんとくしゃこくさいきこう(英語表記)International Organization of Securities Commissions

日本大百科全書(ニッポニカ) 「証券監督者国際機構」の意味・わかりやすい解説

証券監督者国際機構
しょうけんかんとくしゃこくさいきこう
International Organization of Securities Commissions

世界の証券監督当局や証券取引所などで構成する国際機関。略称IOSCO(イオスコ)。投資家を保護し、公正で効率的で透明性のある証券市場を維持し、システミックリスク(個別の金融機関や決算システムの機能不全が金融システム全体に波及するリスク)に対処するため、国際的な規制基準や効果的な監督・執行手法の確立を目的とする。証券監督に関する38の基本原則「IOSCO証券規制の目的と原則」や、その実施状況を評価する「IOSCO証券規制の目的と原則 実施の評価に関するメソドロジー」を策定し、加盟会員に遵守を求めている。会員には、証券監督当局である普通会員、証券以外の監督当局である準会員、証券取引所などの協力会員の3種類がある。事務局はスペインマドリードにあり、毎年1回年次総会を開く。2016年6月時点で加盟機関数は普通会員126、準会員20、協力会員65のあわせて211会員である。

 1974年に発足した米州証券監督者協会が前身で、1983年以降、米州域外のヨーロッパやアジアの証券監督機関が加盟できるようになり、1986年に現名称となった。日本は1988年(昭和63)に大蔵省証券局が加盟。2016年(平成28)6月時点で金融庁農林水産省経済産業省が普通会員、証券取引等監視委員会が準会員、日本証券業協会と日本取引所グループが協力会員として加盟している。2000年には、投資家が世界各国の財務諸表を比較できるように作成された国際会計基準を承認した。2008年の国際金融危機以降は、2008年に格付け会社の監視強化、2009年にはヘッジファンド規制の基本方針を打ち出している。なお証券会社の国際的な監督機関が証券監督者国際機構であるのに対し、銀行の監督機関はバーゼル銀行監督委員会BCBS)、保険会社の監督機関は保険監督者国際機構IAIS)である。

[矢野 武 2016年6月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android