訴陳(読み)そちん

精選版 日本国語大辞典 「訴陳」の意味・読み・例文・類語

そ‐ちん【訴陳】

〘名〙
① 訴え述べること。〔福恵全書‐蒞任部・稟帖贅説〕
② 甲者が乙者を訴え、乙者が甲者の訴えに答えること。とくに、中世訴人原告)と論人被告)とが互いに申立てをすること。
吾妻鏡‐文応元年(1260)八月一二日「不証文之外、於訴陳者、不沙汰之由被定畢」
金沢文庫古文書‐(年月日未詳)・下総国下河辺庄築地郷地頭職訴陳状案(七・五三二九)(端裏書)「一問一答訴陳案〈村上尼事〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「訴陳」の意味・読み・例文・類語

そ‐ちん【訴陳】

訴訟内容を陳述すること。
中世、訴人(原告)と論人(被告)がそれぞれ訴状と陳状により申し立てをすること。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「訴陳」の解説

訴陳
そちん

中世の裁判関係の用語。訴は原告(訴人(そにん))の訴え,陳は被告(論人(ろんにん))の反論のこと。裁判所を介しての訴人・論人の応酬を「訴陳に番(つが)う」といい,その際彼らが提出する文書がそれぞれ訴状・陳状で,両者をあわせて訴陳状とよんだ。しかし,中世の裁判で「訴陳に番う」裁判が一般的であったわけではない。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android