記憶素子(読み)きおくそし(英語表記)memory element

精選版 日本国語大辞典 「記憶素子」の意味・読み・例文・類語

きおく‐そし【記憶素子】

〘名〙 コンピュータ記憶装置を構成する素子。磁気薄膜メモリー、磁気コアメモリーなどがある。

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デジタル大辞泉 「記憶素子」の意味・読み・例文・類語

きおく‐そし【記憶素子】

コンピューター主記憶装置として、実際情報記憶している半導体素子

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改訂新版 世界大百科事典 「記憶素子」の意味・わかりやすい解説

記憶素子 (きおくそし)
memory element

蓄積素子storage elementともいわれ,データを蓄える機能をもつ素子,または回路の単位を記憶素子と呼ぶ。コンピューターの取り扱うデータはディジタルな2値情報なので,安定状態を二つもつ物体,部品,回路,現象などはすべて記憶素子に利用できる可能性をもつ。しかし,電子的な速度で書き込んで読み出すことができ,周囲雑音の妨害や動作の反復に耐えられ,工業製品としての特性,経済性,安定性などや,周辺の電子回路との親和性のよさから,ヒステリシス特性をもつ強磁性素子や半導体電子回路がおもに使用される。ほかのディジタル素子や装置と同様に,二つの論理値を弁別する閾(しきい)特性と再生整形作用を,記憶素子やその集合体である記憶装置はもつ必要があるので,フリップフロップ回路やトロイダル環状磁心や磁性膜(面)が使用される。また再生整形作用を周辺回路に負担させて記憶素子を簡単化し高集積化をねらった,静電容量の蓄積電荷の有無で記憶する半導体記憶素子も広く用いられている。1ビットの情報を記憶する記憶単位を記憶セルmemory cellと呼ぶ。通常,それは以下の性質をもつ。(1)任意の2値情報を書き込むことができる。(2)書かれた情報を保持する。(3)その情報を外部から読み取ることができる。

 以上は1ビットに1記憶セルが1対1に存在する一般・実用的な記憶素子であるが,ホログラムを利用する記憶装置のように,多数ビットを広い部分に分散,重複させて記憶するものもある。この形態は記憶面の部分的欠損や汚染に強く,脳の微小部分が損なわれても記憶が失われないことが多い生物の記憶と似た特徴をもつ。
磁気記憶装置 →半導体記憶装置
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「記憶素子」の意味・わかりやすい解説

記憶素子
きおくそし
storage element

コンピュータにおいて、記憶装置の基本単位のこと、あるいは、データを蓄えうる素子のことをいう。前者は機能上の概念であり、後者は材料面などの物理的な概念である。後者の場合では記憶デバイスともいう。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「記憶素子」の意味・わかりやすい解説

記憶素子
きおくそし
memory device

コンピュータの回路などで,情報をなんらかの形で記憶させ,あとで読出せる素子をいう。従来より磁性体による磁心記憶 (コアメモリ) ,フリップフロップ,磁気ドラム,磁気ディスク,磁気テープなどが用いられているが,高密度・低消費電力・高速応答などの要求から MOS型トランジスタあるいは双極型トランジスタによる ICメモリが広く用いられている。その他,磁気バブル,非晶質半導体,電荷転送デバイス (CTD) ,MNOSダイオード,ホログラフィなどがそれぞれ特徴ある記憶素子あるいは記憶装置としての可能性をもっている。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「記憶素子」の解説

記憶素子

データの記憶機能を備えたIC、またはICの中の1ビットのデータを記憶する最少単位のこと。記憶セル、半導体メモリーとも呼ばれる。記憶内容を読み書きできるRAM(Random Access Memory)と、読み出し専用のROM(Read Only Memory)とがある。

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世界大百科事典(旧版)内の記憶素子の言及

【記憶装置】より

… 大半の記憶装置においては,図1のように記憶媒体における二進数を記憶する場所を何桁かずつまとめたものに対してアドレス(番地ともいう)と呼ばれる一連の番号をつけ,アドレスを指定することによって特定の場所に書き込んだり,そこから読み出したりする。アドレスは数字だけの住所のようなものであり,情報の読み書きは住所が指定された家(記憶素子)に情報を入れたり,そこから情報を出したりするようなものである。磁気記憶装置や光記憶装置などの大半においては,最初の書き込みの前にフォーマットという操作が必要である。…

※「記憶素子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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