言伝(読み)コトヅテ

デジタル大辞泉 「言伝」の意味・読み・例文・類語

こと‐づて【言伝】

《古くは「ことつて」》
伝えたい言葉を他の人に取り次いでもらうこと。また、その言葉。伝言。ことづけ。「明日来るようにと言伝をする」
間接に人から伝え聞くこと。また、伝え聞いた話。伝聞。「言伝にその話は聞いた」
[類語]伝言ことづけメッセージ言付ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「言伝」の意味・読み・例文・類語

いい‐つた・える いひつたへる【言伝】

〘他ア下一(ハ下一)〙 いひつた・ふ 〘他ハ下二〙
① 話して後世に伝える。語り伝える。
※続日本後紀‐嘉祥二年(849)三月庚辰「此国。云伝布良久(いひつたフラク)
源氏(1001‐14頃)桐壺「ひかるきみといふ名は、こまうどのめできこえて、つけたてまつりけるとぞ、いひつたへたるとなむ」
世間の人に語り広める。評判を立てる。言いふらす。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「またたのもしくいひつたへおき給はん人も」
③ ことばを取り次ぐ。伝言する。
平中(965頃)二四「常にものいひつたへさする人に、たまさかにあひにけり」

こと‐づ・てる【言伝】

〘他タ下一〙 ことづ・つ 〘他タ下二〙 (古くは「ことつつ」。未然・連用・命令の三形しかない) ことづてをする。伝言する。
古今(905‐914)夏・一五二「やよやまて山郭公ことづてんわれ世中にすみわびぬとよ〈三国町〉」
※中華若木詩抄(1520頃)中「雁に書をことつてて、親のかたへやる也」
[語誌](1)コト(言)とツツ(伝)の合成語。中世末にコトヅク(言付)にとってかわられる。以降、連用形コトヅテにルのついたコトヅテルの形で使われる。
(2)「日葡辞書」に「Cototçute, curu, teta」とあることを考えると、すでにこの頃、すべての活用形を具備しない欠如動詞であったと推測される。

こと‐づて【言伝】

〘名〙 (古くは「ことつて」)
① たより。知らせ。伝言。ことづけ。
※古今(905‐914)恋四・七四二「山がつのかきほにはへる青つづら人はくれども事づてもなし〈〉」
他人からの話によって伝え聞くこと。伝聞。
平家(13C前)一〇「風のたよりのことつても、いまやいまやとこそまたんずらめ」

いい‐つたえ いひつたへ【言伝】

〘名〙
① 昔から代々、口から口へ語り継がれてきた話、事柄伝説昔話、ことわざなど。
※玉塵抄(1563)五〇「深いをくのつぼねなどに、女房あることをしるいた書ぞ。云いつたえ物語のことを書たぞ」
② 伝言。ことづて。

こと‐づたえ ‥づたへ【言伝】

〘名〙 ことを先方に伝えること。ことづて。
※檜垣嫗集(10C後か)「いとしまをかけて飛ぶとりまてや鳥おにも羽にもことつたへせむ」

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