言(漢字)

普及版 字通 「言(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

[字音] ゲン
[字訓] いう・ことば

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
辛(しん)+口。辛は入墨に用いる針の形。口は祝詞を収める器の(さい)。盟誓のとき、もし違約するときは入墨の刑を受けるという自己詛盟の意をもって、その盟誓の器の上に辛をそえる。その盟誓の辞を言という。〔周礼、秋官、司盟〕に「獄は、則ち之れをして詛(めいそ)せしむ」とみえるものが、それである。〔説文〕三上に「直言を言と曰ひ、論を語と曰ふ」とし、また字を(けん)声に従うとするが、卜文・金文の字は辛に従う。かつ言語は、本来論議することではなく、〔詩、大雅、公劉〕は都作りのことを歌うもので、「時(ここ)に言言し 時に語語(ぎよぎよ)す」というのは、その地霊をほめはやして所清めをする「ことだま」的な行為をいう。言語は本来呪的な性格をもつものであり、言を神に供えて、その応答のあることを(音)という。神の「音なひ」を待つ行為が、言であった。

[訓義]
1. いう、神にちかうことばをいう、神にちかう、もうす。
2. ことば、はなす、つげる。
3. おしえ、いいつけ。
4. われ、〔詩〕に用いる。
5. ここに、〔詩〕に用いる。
6. に通じ、やわらぐ、つつしむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕言 ワレ・ココニ・イフ・コト・コトバ・トク・イフココロ・モノイフ・マウス・トフ・ノリ・ノブ・ココロミル・ヨシ・タカシ・アヒダ・シム・トキ 〔字鏡集〕言 マウス・ココニ・トク・トキ・トフ・ワレ・コトバ・ココロミル・シム・イフココロハ・タカシ・スコシ・イフ・モノイフ・ノブ・イハバ・コト・ヨシ・ノリ・アヒダ・カタラフ

[部首]
〔説文〕に(謁)・(諾)など二百四十五字、重文三十三字、〔新附〕に八字を属し、〔玉〕にはすべて三百八十二字を属する。卜文・金文にみえる字形は、おおむねその呪的方法を字形中に含んでおり、たとえば訶は歌の初文で、祝して呵するときの声、譱(善)は羊と両言に従って羊神判、讐は(しゆう)に従って鳥占(とりうら)による審判を示す字であろう。

[声系]
〔説文〕に言声としてなど二字を収める。は亡国や死喪などの不幸を弔うことをいう。

[語系]
言・ngianは同声。は「ことわざ」とよまれるように、本来は呪的な力能をもつ語。言・はみなその性格に通ずるところがある。語ngiaは同系の語。言語と相対していうときは、言は攻撃的、語は防禦的な性格をもつ語である。

[熟語]
言下・言懐言外・言甘・言官・言戯・言議・言及・言言・言原・言語・言晤言行・言志・言詞・言肆・言辞・言次・言笑・言上・言誓・言・言責言説・言筌・言・言宣・言泉・言談言質・言鳥・言動・言道・言訥・言貌言明・言黙・言路・言論・言話
[下接語]
違言・遺言・一言・怨言・佳言・訛言・過言・嘉言・寡言・雅言・概言・格言・確言・甘言換言・諫言・願言・危言・奇言・寄言・棄言・言・偽言・戯言・虚言・言・狂言・矯言・曲言・極言・金言・謹言・苦言・空言・寓言・結言・建言・献言・言・五言・語言・公言・巧言・広言・抗言・高言・言・雑言・讒言・卮言・矢言・至言・辞言・邇言・七言・失言・疾言・祝言・重言・緒言・助言・序言・笑言・証言・詳言・上言・食言・嘱言・真言・進言・慎言・箴言・人言・寸言・正言・誓言・贅言・切言・千言・宣言・前言・善言・造言・俗言・他言多言・大言・体言・対言・代言・題言・択言・託言・誕言・断言・忠言・直言・通言・痛言・提言・適言・伝言・言・毒言・二言・佞言・納言・罵言・発言・鄙言・美言・微言・評言・不言・附言・浮言・婦言・誣言・侮言・文言・別言・片言・便言・方言・放言・暴言・謗言・万言・漫言・無言・名言・明言・妄言・約言・喩言・予言・用言・妖言・要言・揚言・謡言・俚言・立言・略言・流言・綸言・縷言・例言・話言

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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