角座(読み)かどざ

精選版 日本国語大辞典 「角座」の意味・読み・例文・類語

かど‐ざ【角座】

大阪市中央区道頓堀にある劇場歌舞伎劇場としては古く、宝暦八年(一七五八並木正三によって我が国初の回り舞台が設けられた。昭和二〇年(一九四五空襲焼失。同四八年再建された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「角座」の意味・わかりやすい解説

角座
かどざ

大阪市中央区道頓堀(どうとんぼり)1丁目にある劇場。古く角の芝居といった。1652年(承応1)、京都より下った大坂太左衛門が道頓堀に芝居興行の許可を受けて建設、以後中(なか)の芝居(中座)、大西(おおにし)の芝居(1887年=明治20=浪花(なにわ)座と改称、2002年=平成14=1月閉館)とともに大坂の代表的劇場として繁栄した。1758年(宝暦8)初世並木正三(しょうざ)の考案により世界最初の回り舞台を設置し、演劇史上大きな意義を残した。明治期前半は和田清七が経営し、のち松竹の手に移った。1945年(昭和20)に空襲により焼失、1948年再建したが、1986年からは、改築されて映画館として興行していた(2007年閉館)。

菊池 明]


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改訂新版 世界大百科事典 「角座」の意味・わかりやすい解説

角座 (かどざ)

大阪市南区西櫓町(現,中央区道頓堀)にあった劇場。1652年(慶安5)の道頓堀芝居名代御定のおりの大坂太左衛門芝居に始まる。太左衛門橋を南へ渡った角にあったため角の芝居と呼ばれた。元禄期から竹嶋幸十郎・村山平十郎・竹嶋幸左衛門らが座本として活躍。1758年(宝暦8)並木正三が回り舞台を創案して大当りした。1826年(文政9)江戸参府の途次シーボルトが《妹背山婦女庭訓》を見物した劇場。大西芝居の衰退後も,幕末まで一貫して中の芝居(中座)と共に大芝居の劇場として隆盛を保つ。明治初年は初世市川右団次が革新歌舞伎の本拠地とし,76年焼失後の新築落成の公演では《鯉つかみ》を演じた。84年西洋風の新式劇場に改築。1921年松竹合名社の手に移り内外を改築。45年米軍の空襲にあって焼失した。48年に再建されたが,まもなく映画館となる。映画の衰退後は軽喜劇寄席に使われ,のち映画館,演芸場となるが,2008年閉鎖。
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