日本大百科全書(ニッポニカ) 「観賞魚」の意味・わかりやすい解説
観賞魚
かんしょうぎょ
aquarium fish
ornamental fish
水槽や池などでペットとして飼育し、観賞して楽しみ、憩いを与えてくれる魚類の総称。姿や形、色合いの美しさや変わった習性などが観賞される。淡水魚と海水魚に大別される。淡水魚で代表的なものは、キンギョ、ニシキゴイ、熱帯魚などである。キンギョは、中国で8、9世紀に品種改良がされだし、17世紀の初めにヨーロッパに伝わってから世界的な観賞魚となった。現在では多数の品種が育成され、日本でも20種を超える。ニシキゴイ(錦鯉)は、イロゴイ(色鯉)ともよばれ、19世紀の前半に、現在の新潟県長岡市(おもに南東部の旧、古志(こし)郡)などで、マゴイの色変わりを飼育しだしたのが始まりである。以後、交配により品種が増えて数十種もあり、現在ではキンギョとともに外国へも輸出されている。観賞用の熱帯魚は、アジア、アフリカ、中央・南アメリカの熱帯が原産地である。メダカ類、カワスズメ類、ナマズ類、ドジョウ類、カラシン類などに観賞の対象となるものが多い。熱帯魚の飼育は、ことに第二次世界大戦後に盛んになった。これは、外国から珍しい活魚を輸入し、多くの品種が人工的に育成され、飼料や飼育設備および管理が著しく改善されて、一般家庭にも広く普及したためである。それに伴い、多くの希少種や絶滅危惧(きぐ)種などが飼育・観賞の魚類の対象とされ問題となっている。
海水魚で代表的なものはコーラルフィッシュ(サンゴ礁魚類)で、小形で色彩も変化に富む種類が多く、チョウチョウウオ類、スズメダイ類、ベラ類、モンガラカワハギ類などは観賞魚として愛好者に親しまれている。海水魚は飼育管理が淡水魚に比べて全般的にむずかしかったが、飼育装置が著しく改良され素人(しろうと)でも簡単に飼育できるようになった。
[落合 明・尼岡邦夫 2015年3月19日]