視野欠損(読み)しやけっそん

百科事典マイペディア 「視野欠損」の意味・わかりやすい解説

視野欠損【しやけっそん】

視野は種々の疾患によって欠損(見えない部分)を生じるが,その欠損状態によって狭窄(きょうさく)と暗点に大別される。狭窄は周辺が欠損して視野がせばめられたもので,周辺全体から欠損してくる同心狭窄は緑内障後期網膜色素変性ヒステリーなどにみられ,周辺の一部または数ヵ所から欠損してくる不規則狭窄は網膜剥離(はくり),先天性脈絡膜欠損,視神経萎縮(いしゅく)などにみられる。このほか注視点を境界として視野の右半部または左半部が欠損する半盲がある。暗点は視野内部の島状の欠損で,暗色斑として自覚される実性暗点と自覚されない虚性暗点がある。また位置によって中心暗点,副中心暗点,周辺暗点,輪状暗点などに分けられるが,中心暗点が最も視力障害がはなはだしく,網膜黄斑部の疾患や視神経の疾患によって起こる。なお盲点は生理的な暗点である。
→関連項目視野計ヒステリー偏頭痛網膜剥離

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「視野欠損」の意味・わかりやすい解説

視野欠損
しやけっそん

視野の一部に欠けた部分があるもので、視野内の島状の欠損部を暗点といい、視野の広さが狭くなるものを視野狭窄(きょうさく)という。視野が中心に向かって狭くなるものを求心狭窄といい、網膜色素変性症、緑内障の末期などの疾患にみられる。視野が不規則に狭くなり、中心から扇状に広がる欠損が周辺まで達するものを截痕(さいこん)状狭窄(不規則狭窄)といい、網膜剥離(はくり)などの疾患にみられる。両眼の視野の半分が欠けて見えなくなるものを半盲という。両眼の耳側、あるいは鼻側半分の視野が欠損するものを異名半盲(交叉半盲(こうさはんもう))といって視交叉病変でおこる。両耳側(じそく)半盲は視交叉で交叉線維が障害されておこり、下垂体腫瘍(しゅよう)などの疾患でおこる。両鼻側半盲は視交叉が両側から対称的に障害されることでおこり、血管性であるがきわめてまれである。同名半盲(同側半盲)は両眼の視野の同側の半分が欠損するもので、視索より上方の視路の病変によっておこる。右側同名半盲は視野の右半分、左側同名半盲は視野の左半分が欠損し、それぞれ反対側の視索より上方の視路の病変によっておこる。4分の1半盲は同名半盲のうち両眼視野の上方または下方の4分の1が欠損するもので、視索の部分的障害あるいは視放線の障害でおこる。半盲のうち、視野の上半分あるいは下半分が欠損する上半盲や下半盲は、臨床的に遭遇する場合はきわめてまれである。

[太田安雄]

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世界大百科事典(旧版)内の視野欠損の言及

【視野】より


[視野の異常]
 網膜から後頭葉視覚中枢までの視覚伝導路のいずれかの異常によって起こるが,逆に視野異常の形から,その病変部位を診断することも可能である。視野欠損は,基本的に狭窄,沈下,暗点の3種類に分類される。視野狭窄defectとは,すべての刺激に対し感度がまったく消失した部分が拡大して視野が狭まるものをいう。…

※「視野欠損」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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