規制改革推進会議(読み)きせいかいかくすいしんかいぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「規制改革推進会議」の意味・わかりやすい解説

規制改革推進会議
きせいかいかくすいしんかいぎ

公的規制の緩和策について調査・審議する内閣総理大臣諮問機関。経済成長の足かせとなっている規制を緩め、技術革新、事業創出、生産性・利便性の向上などを促す目的をもつ。内閣府設置法第37条第2項に基づき、2016年(平成28)、内閣府に設けられた。設置期間は政令で定める。内閣に規制緩和担当閣僚が置かれ、議長を含め20人以内の民間経営者や学者らで構成する。中央省庁の個々の規制の必要性や規制緩和効果について審議。関係省庁と調整し、毎年6~8月ころに、規制改革策を内閣総理大臣に答申する。答申を受け、政府は成長戦略や骨太の方針を決定し、次年度の予算編成や法改正などに生かす。教育、社会保障、農業、デジタル化、投資、経済活性化などテーマごとに作業部会(ワーキング・グループ)を設け、審議を進める手法をとることが多い。専用ホームページで、広く国民や民間企業などから具体的な規制緩和策を募集する試みも行っている。

 政府の規制改革の取り組みの源流は、1981年(昭和56)の第二次臨時行政調査会(土光(どこう)臨調)にさかのぼる。その後、村山富市(むらやまとみいち)政権の「行政改革委員会規制緩和小委員会」、橋本龍太郎(はしもとりゅうたろう)政権の「規制緩和委員会」、森喜朗(もりよしろう)政権の「総合規制改革会議」、小泉純一郎政権の「規制改革・民間開放推進会議」などと改称しながら役割を引き継いでいる。民主党政権では事実上廃止されたものの、第二次安倍晋三(あべしんぞう)政権下の2013年に「規制改革会議」として復活し、2016年に現名称となった。規制改革推進会議は、これまでに医薬品の一般小売店での販売や保険商品の銀行窓口での販売の解禁特区創設、幼稚園と保育園の一体整備、混合診療の拡大、混合介護の解禁、民泊の解禁、総合取引所の実現、ジョブ型正社員の雇用ルールの明確化、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)流行時の経験を踏まえたオンライン診療の普及・促進などを答申した。

[矢野 武 2022年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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