見付(読み)みつける

精選版 日本国語大辞典 「見付」の意味・読み・例文・類語

み‐つ・ける【見付】

[1] 〘自カ下一〙 みつ・く 〘自カ下二〙 見慣れる。慣れ親しむ。
※虎寛本狂言・縄綯(室町末‐近世初)「見付させられぬ故に、おむつかるもので御ざらう」
[2] 〘他カ下一〙 みつ・く 〘他カ下二〙
① みいだす。発見する。
※竹取(9C末‐10C初)「ふしをへだててよごとにこがねある竹をみつくる事かさなりぬ」
② じっと見る。心にとめて見る。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「心知る御目には、みつけつつ、なほいとけしき殊なり」

みせ‐つ・ける【見付】

〘他カ下一〙 みせつ・く 〘他カ下二〙
① ひどい目にあわせる。
仮名草子浮世物語(1665頃)三「殊の外の荒者にて、町人をみせつけ百姓を威し」
② 人に得意になって見せる。わざと人目につくようにふるまう。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「まづ一番にお手際を見せ付(ツケ)たス」

み‐つか・る【見付】

〘自ラ五(四)〙
① 人にみつけられる。発見される。
※雑俳・柳多留‐二(1767)「見つかって馬盗人は乗て逃」
② 見つけることができる。捜し出せる。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「あんまり傍に居ては見つからねへで、遠くの人に拾はれる利屈さ」

み‐つ・く【見付】

[1] 〘自カ四〙 見て、心に深く好ましいと思う。見て気に入る。見慣れ、親しむ。
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「をさなき人は、みつい給ふままに、〈略〉むつれまとはし聞え給」
[2] 〘自他カ下二〙 ⇒みつける(見付)

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デジタル大辞泉 「見付」の意味・読み・例文・類語

み‐つけ【見付/見附】

枡形ますがたをもつ城門の外側に面する部分。見張りの番兵を置いた。俗に江戸城には36見付があったといわれ、現在は四谷見付・赤坂見付などが呼称として残る。
建築で、部材の正面。また、その幅。主に仕上げ材・化粧材についていう。みつき。
すぐ向こうに見える所。すぐ目につく所。みつき。
「あの―の松でござる」〈狂言記・富士松〉

みつけ【見付/見附】[静岡県の地名]

静岡県南西部、磐田いわた市の地名。東海道五十三次の宿駅として発展。住宅地

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日本歴史地名大系 「見付」の解説

見付
みつけ

現市域中心部、磐田原台地南端の微高地にある。平安末期より遠江国府、鎌倉期より遠江国守護所も置かれた地で、国府こう府中ふちゆう、見付府・見付府中ともよばれ、おそらく近世の見付宿を中心により広い範囲をさしたと推定される。「法然上人絵伝」の正嘉二年(一二五八)一〇月頃の記事に「当国ミつけの国府」とある。

古代の遠江国府は中泉なかいずみ御殿ごてんから二之宮にのみやにかけての地域(御殿・二之宮遺跡)に置かれた。その後平安の小海進とよばれる気候の温暖化による海面上昇のため、遠州灘に面した地域は沼地化が進み、平安末期より国府は北方の見付に移ったと考えられている。見付の北西部で発見されたいちたに中世墳墓群で大量の中世墳墓が確認され、中世都市見付が平安末期に営まれ、戦国末期まで連綿と続いていたことが裏付けられた。見付の東側にも小規模ながら同様の中世墳墓(住吉遺跡)が営まれており、都市の東西の境界に造墓されているという計画的な都市造りがなされていた。治承四年(一一八〇)一〇月二一日、甲斐源氏安田義定が遠江国の守護に補任され(吾妻鏡)、それに伴い甲斐国より一族が遠江国に移住したという(「玉葉」治承四年一二月一二日条)。文治四年(一一八八)五月には義定を願主として大般若経(滋賀県柳瀬在地講蔵)が「巌室寺」(現豊岡村)で書写された。建久元年(一一九〇)義定は遠江守より下総守に移され(「吾妻鏡」同年二月一〇日条)、同五年鎌倉幕府によって誅殺された(同書同年八月一九日条)。その影響か、翌六年に国府の役職にあったと思われる勝田成長が「当国之府光堂」で乱闘事件を起こしている(同書同年一二月五日条)。この光堂は蓮光れんこう寺のことで、同寺は現在廃寺になっているが、見付町のやや西寄り、現在の西坂にしざか会館付近にあったと伝えられている。承元三年(一二〇九)には「府中朝日寺」や「遠江国府中薬師堂敷地」で大般若経(福井県小浜市中村区有)が書写された。「朝日寺」は不明だが、薬師堂は現国分寺のことである。なお見付には前出蓮光寺のほか時宗の西光さいこう寺・省光しようこう寺があり、いずれも弘安年中(一二七八―八八)に他の宗派から改宗したと伝えられる。

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百科事典マイペディア 「見付」の意味・わかりやすい解説

見付【みつけ】

(1)番兵の見張る所,転じて城門の意。江戸城には内郭,外郭に合計36門あって三十六見付と呼び,譜代大名の家臣が警備した。四谷見付,赤坂見付,牛込見付など。(2)建築用語で,おもに枠,(かまち)などの部材の正面の幅をいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「見付」の意味・わかりやすい解説

見付
みつけ

静岡県南西部,磐田市の中心市街地の1つ。磐田原台地の南端の東海道沿いに町並みが連なっている。東海道の宿場町として発達した町並みの南側は,古代に今ノ浦と呼ばれた湿地帯である。西方の台地に遠江国分寺跡 (特別史跡) ,町並みの中央付近に国府の跡が残る。見付天神の裸祭は有名。

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