覇(漢字)

普及版 字通 「覇(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 19画

(旧字)
21画

(異体字)
19画

[字音] ハ・ハク
[字訓] しろい・はたがしら

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
旧字はに作り、雨+革(かく)+(月)。の初文はに作り、雨+革。獣屍が雨にうたれ、色沢を失って白く暴(さら)されている形で、生色を失った白い色をいう。月光の白さがそれに似ているので、を加えてとなった。〔説文〕七上に「始めて生じて魄然(はぜん)たるなり。大を承くるときは二日、小を承くるときは三日なり。に從ひ、(は)聲」とする。金文に「(きせいは)」「(きしは)」のように月相をいう語があり、一月四週を初吉・既生覇・既望・既死覇に分かつ。〔説文〕のいう二・三日の頃は初吉にあたり、劉(りゆうきん)の〔三統暦〕に死覇を朔日とする解釈に近いが、朔・望の間に生覇・死覇をおく王国維の説は、金文の暦朔日辰の計算の上にも妥当なもので、その解をとるべきであろう。はまた伯と通用し、覇者の意に用いる。白は頭顱(とうろ)の白骨化したもので、髑髏(どくろ)の象。雄傑の人の髑髏を保存し崇拝したので、その人を伯という。覇者の義は伯の仮借義である。常用漢字の覇は、もとの俗字。

[訓義]
1. しろい、しろい獣死、生色のない白さ。
2. 月の光りはじめ、うすい月光、月かげ
3. 伯と通じ、はたがしら、はしゃ。
4. 魄と通じ、月光を生魄・死魄という。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕 の形、光无(な)く、なるを謂ふ。把なり、言ふこころは、侯のを把持するなり。今竝(とも)に魄の字と爲す。伯なり。なり。與なり 〔名義抄 セム・ウツ・タスク・ヲサム・ムカフ・タガヒニ・ハヤル・タシナム

[語系]
・伯peakは同声。〔説文〕八上に「伯は長なり」とあり、はもとに作り入声音であったので、同声仮借してを伯の意に用いる。白は髑髏、は獣屍の暴露して色を失ったもの、ともに色の脱けた白さをいう。

[熟語]
覇王・覇姦覇気覇軌覇業覇衿覇権覇妻覇史・覇事・覇者覇主覇心覇臣覇迹・覇朝覇図覇道覇府覇略
[下接語]
英覇・王覇・五覇・称覇・世覇・成覇・制覇・争覇・定覇・雄覇・連覇

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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