西湖(読み)サイコ

デジタル大辞泉 「西湖」の意味・読み・例文・類語

さい‐こ【西湖】

山梨県南部の湖。富士五湖の一で、富士山溶岩流によるき止め湖にしのうみ。面積2.12平方キロメートル。湖面標高900メートル。

せい‐こ【西湖】

中国浙江せっこう省の杭州西部にある湖。西湖十景で知られる景勝地。2011年、「杭州西湖の文化的景観」として世界遺産文化遺産)に登録された。シーフー

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精選版 日本国語大辞典 「西湖」の意味・読み・例文・類語

さい‐こ【西湖】

山梨県南部の湖。富士五湖の一つ。貞観六年(八六四)富士山噴火の際の青木ケ原溶岩流により剗海(せのうみ)が両断され、本栖(もとす)湖、精進(しょうじ)湖とともにできた。富士箱根伊豆国立公園一部。湖面標高九〇〇メートル。面積二・三平方キロメートル。にしのうみ。

せい‐こ【西湖】

中国、浙江(せっこう)省杭州市の西側にある湖。湾口が銭塘(せんとう)江の土砂でふさがり湖となったもの。三方を丘陵に囲まれ、小島や蘇東坡白居易の名にちなむ堤を配した景勝の地で、古跡にも富む。面積六・〇三平方キロメートル。武林水。石函湖。銭塘湖

にし‐の‐うみ【西湖】

富士五湖の一つ、西湖(さいこ)の旧称。

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日本歴史地名大系 「西湖」の解説

西湖
さいこ

足和田村のほぼ中央に所在する富士五湖の一つ。富士山の火山活動によって形成された堰止湖で、さわ川・桑留尾くわるび川・西入にしいり川・本沢もとさわ川が流入する。自然の流出口はないが、湖水は標高差を利用した発電に用いられ、東方の河口かわぐち湖に落されている。周囲一〇キロ、湖水面の標高九〇〇メートル、湖水面積二・一四平方キロ、最大水深九〇・九メートルの青木あおきヶ原樹海に包まれた静かな湖。

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改訂新版 世界大百科事典 「西湖」の意味・わかりやすい解説

西湖 (せいこ)
Xī hú

中国,浙江省杭州市にある湖。西湖という名の湖は中国に三十数ヵ所あるが,その中で最も著名なもの。杭州市街地の西にあり,周囲の山や歴史的建造物とあいまって,山紫水明の美しい景観を呈し,中国有数の観光地。文芸にもよくとりあげられ,日本にも古くから紹介されなじみの深い景観である。面積は6.03km2,湖中に堤防や島が多く水面だけでは5.66km2。全体に浅く,最深所で2.8m余しかない。もともと洪積世末期には銭塘江の河口左岸に形成されていた小湾の一部であったが,沖積世に入り河口にデルタが形成された結果,内部に封入されてできたもの。今の杭州市街地の部分が,その砂州にあたる。漢代には明聖湖や銭塘湖という名で知られていたが,唐代になり杭州が南方開発の中心として栄えるようになって注目された。封入されてからも,周囲の山地からの河川が運ぶ泥土で,湖水は縮小,沼沢化がすすんでいたが,安定した灌漑用水,都市の生活用水の確保,漕運の便宜,あるいは美しい景観を保持するために修築が加えられ,中でも唐の白居易(楽天)の築いた白堤,宋の蘇軾(そしよく)(東坡)の築いた蘇堤は有名。湖中湖岸の名勝は数多いが,西湖十景と呼ばれるのは,三潭印月,蘇堤春暁,平湖秋月,双峰挿雲,柳浪聞鶯,花港観魚,曲院風荷,断橋残雪,南屛晩鐘,雷峰夕照である。
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西湖 (さいこ)

富士山北麓,山梨県南都留(みなみつる)郡富士河口湖町にある湖。富士五湖の一つで河口湖の西約1kmにある。富士山噴火の際の溶岩流による堰止湖で,湖面標高900m,面積2.3km2。北側は御坂(みさか)山地の急崖,南は紅葉台の丘陵地にはさまれ,南・西には青木ヶ原原始林が広がり,五湖中でもっとも静寂なたたずまいをもつ。自然の排水河川はないが,湖面標高が約70m低い河口湖に導水トンネルがつくられ,落差を利用した西湖発電所(1919完成)がある。東岸の西湖,西岸の根場(ねんば)の集落は,1966年9月の台風による山崩れで壊滅的な被害を受けたが,その後青木ヶ原の一角を切り開いて集団移転し,民宿村を営んでいる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西湖」の意味・わかりやすい解説

西湖
さいこ

山梨県南部,富士山の北麓にある湖。富士河口湖町に属する。「にしのうみ」ともいう。富士五湖の一つ。御坂山地,足和田山,青木ヶ原に挟まれる。面積 2.1km2。周囲 9.6km,湖面標高は 902m。最大水深は 73.2mと深く,冬季も結氷しない。貞観6(864)年の富士山の噴火による溶岩でできた堰止湖貧栄養湖であるが,ヘラブナ,ワカサギの釣場となっている。天然の流出口はないが,東の河口湖との約 60mの落差を利用して発電が行なわれるほか,上水道源となっている。富士山と周辺の湖,神社などとともに,2013年世界遺産の文化遺産に登録された。

西湖
さいこ

シー(西)湖」のページをご覧ください。

西湖
せいこ

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百科事典マイペディア 「西湖」の意味・わかりやすい解説

西湖【さいこ】

山梨県南部にある湖。〈にしのうみ〉とも。富士五湖の一つ。標高900m,面積2.10km2,最深71.7m。864年【せ】海(せのうみ)という大湖が青木ヶ原溶岩流によってせき止められ,精進湖本栖湖とともにできた。流出入口がなく,冬季全面結氷しない。貧栄養湖であるが,ワカサギ,ヘラブナの釣場で,キャンプの適地。河口湖駅からバスが通じる。2013年,富士山の構成資産として世界文化遺産に登録。
→関連項目青木ヶ原

西湖【せいこ】

中国,浙江省の杭州市の西に接する湖で,有数の景勝地。周囲約15km。湖の三方を囲んだ山には名寺古跡が多く,日本にも古くから紹介されている。湖の堤にも白堤,蘇堤など,白居易蘇軾(そしょく)にちなんだ名が付けられている。
→関連項目杭州

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世界の観光地名がわかる事典 「西湖」の解説

せいこ【西湖】

中国の浙江(せっこう)省の杭州(こうしゅう)(ハンチョウ)市街地西側に広がる、周囲が緑の山々に囲まれた湖。杭州市西郊にあることから「西湖」と呼ばれている。水深は平均1.8m、最も深いところでも2.8mしかなく、非常に浅い湖で、干潟であったことがわかる。この干潟も漢代には淡水化し、「武林水」、「時聖湖」などと呼ばれた。唐時代になると西湖という名称になったが、「銭源」や「銭唐湖」などとも呼ばれていた。三潭印月や中之島西湖にまつわる伝承は数多く、京劇『白蛇伝』の白素貞が入水したといわれる白堤や蘇軾の造営によるという蘇堤など、西湖十景と呼ばれる観光資源は四季折々に美しい姿を見せる。なかでも中国四大美人の一人に数えられる、西施(せいし)入水にまつわる伝承は有名で、この故事によって西湖の名称が定着したといわれる。

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事典・日本の観光資源 「西湖」の解説

西湖

(山梨県南都留郡富士河口湖町)
ふるさとの水辺百選」指定の観光名所。

西湖

(山梨県南都留郡富士河口湖町)
富士五湖」指定の観光名所。

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デジタル大辞泉プラス 「西湖」の解説

西湖

阿波野青畝の句集。1991年刊行(青畝句集刊行会)。1992年、第7回詩歌文学館賞(俳句部門)受賞。

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