朝日日本歴史人物事典 「西川扇蔵(2代)」の解説
西川扇蔵(2代)
生年:生年不詳
江戸中期の歌舞伎の振付師。初名西川千蔵。宝暦7(1757)年から江戸市村座付きの振付師となり,仮芝居桐座をふくめ寛政2(1790)年まで出勤。その間,4年間だけ森田座に出ている。長唄「鷺娘」「吉原雀」,常磐津「鞍馬獅子」「関の扉」など多くの名作を生んだ。中村座の「戻駕」も扇蔵の振り付けと伝えられている。一方,吉原の女芸者の踊りの指導にも携わり,明和2(1765)年には,長唄の地方に江戸三座の囃子方を招いて大規模なお浚い会を開催。「吉原細見」によると同8年からは門下の吉原芸者による「義太夫節子供身振り」を始める。初代中村仲蔵と共に「天明ぶり」と呼ばれる豊後節の所作事を大成,舞踊西川流の基礎を確立した。没年については,天明6(1786)年3月ともいうが,これも確かではない。
(古井戸秀夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報