西アフリカ経済共同体(読み)にしあふりかけいざいきょうどうたい(英語表記)Communauté Economique de l'Afrique de l'Ouest

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西アフリカ経済共同体」の意味・わかりやすい解説

西アフリカ経済共同体
にしあふりかけいざいきょうどうたい
Communauté Economique de l'Afrique de l'Ouest

略称CEAO。フランス領西アフリカは、独立前に単一関税領域を形成していたが、独立後も細分化の弊害を避けるため1959年に関税同盟を結成した。これは1966年に改革が行われ、さらに1972年にヨーロッパ共同体(EC)をモデルに西アフリカ経済共同体を結成した。かねてからとかく問題となっていた沿岸国と内陸国との経済的格差に対処するとともに、加盟国の生活水準の向上を目ざして、共通関税の設定、域内における経済協力に関する政策の実施、域内の人および資本の移動の自由の実現を図ろうとするものである。加盟国はベナンコートジボワールブルキナ・ファソマリモーリタニアニジェールセネガルの7か国で、ギニアトーゴオブザーバーとなっている。なお、これらの国を含む西アフリカ地域の16か国が西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)を1975年に設立している。このECOWASはアフリカ統一機構(OAU。2002年7月発展的に改組してアフリカ連合となる)の地域下部機関として、西アフリカの加盟諸国の協議の場として重要な役割をもつ。またCEAOは活動が停滞していたこともあり、モーリタニアの離脱とECOWASの発足危機感をもった西アフリカ通貨同盟(UMOA)が母体となって、フランス系西アフリカの再統合を目的とした西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)を1994年に発足させた。

[相原 光]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西アフリカ経済共同体」の意味・わかりやすい解説

西アフリカ経済共同体
にしアフリカけいざいきょうどうたい
Communauté Économique de l'Afrique de l'Ouest; CEAO

西アフリカ関税同盟に代わるものとして,1974年1月に創設された域内協力機関。コートジボアール,マリ,モーリタニア,ニジェール,セネガル,ブルキナファソ,ベナンの 7ヵ国が加盟,トーゴ,ギニアの 2ヵ国がオブザーバーとなっている。加盟国の関税貿易政策ばかりでなく,運輸通信,牧畜工業,観光,エネルギー,調査などに関する諸政策をも調整する役割を果たす。域内住民の生活水準の向上と,域内経済の調和的発展をもたらそうというのが,その基本的目標である。機構面では国家元首会議を頂点とし,以下閣僚会議,事務総局のほか,共同体開発基金,仲裁裁判所などが設置されている。

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世界大百科事典(旧版)内の西アフリカ経済共同体の言及

【フランス領西アフリカ】より

…しかし,独立当初,急進的外交路線をとったギニア,マリ,また70年代からアラブ圏との結びつきを強化しはじめたモーリタニアを除く諸国(第1次大戦後,フランスの委任統治領になった旧ドイツ領植民地トーゴ(1960年独立)も参加)は,西アフリカ通貨同盟を結成し,植民地時代からの共通通貨であるCFAフランを使用するなど,独立後も経済的には緊密な関係を保持している。また73年にはセネガルのサンゴール大統領の発案で,これらの諸国は西アフリカ経済共同体(CEAO)を結成し,経済統合をはかろうとしている。【原口 武彦】。…

※「西アフリカ経済共同体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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