(読み)セツ

デジタル大辞泉 「褻」の意味・読み・例文・類語

せつ【褻】[漢字項目]

[音]セツ(漢) [訓]け
ふだん着。「褻衣せつい
けがす。けがれる。「褻器猥褻わいせつ

け【×褻】

正式でないこと。また、日常的なこと。ふだん。⇔はれ
「―に着給ふ御衣おんぞ」〈大鏡兼通

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「褻」の意味・読み・例文・類語

け【褻】

〘名〙 (神の祭や公の政など儀式や祝いごとを晴(はれ)というのに対して日常的な私ごとをいう) 正式でないこと。よそいきでないこと。また、そのような状態の時や所。ふだん。常(つね)
※平中(965頃)三四「上にもけにも心にまかせてまじり歩く人なれば」
徒然草(1331頃)一九一「ことにうち解けぬべき折節ぞ、け・晴(はれ)なくひきつくろはまほしき」
[語誌](1)古代においては、服装寝殿造建物や食事など生活全般にわたって「ハレ=公(おおやけ)」と「ケ=私(わたくし)」とが明確に区別されていた。
(2)「けはれ」「褻にも晴れにも」のように「はれ」と熟合しても用いられ、日常語として広まっていたことがうかがわれる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「褻」の意味・わかりやすい解説


日常的な生活のこと。これに対して普段とは異なる特別に改った生活をという。人の生活の大部分は褻のときである。褻のときは,一定規則に従った生活が繰返され,労働に従事したり,身辺仕事をかたづけたりする。以前は,衣食住のうえでも心理的にも晴と褻の区別は明確に分れていたが,相互浸透によってこの区別は次第に希薄になりつつある。

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