製作・制作（読み）せいさく

精選版 日本国語大辞典

せい‐さく【製作・制作】

〘名〙

① 定め作ること。考え定めること。また、そのもの。

※却癈忘記（1235）下「摧邪論の制作も其心のとをり也」 〔史記‐秦始皇本紀〕

② 詩歌や物語を作ること。

※細流抄（1525‐34）一「必光源氏と号すべき古源氏と云物語あまたある中に光源氏は式部製作歟云々不及此義」

※天草本平家（1592）読誦の人に対して書す「ゲンエ ホウインノ xeisacu(セイサク) ヘイケモノガタリニ シクワ アラジト」 〔顔氏家訓‐文章〕

③ 絵画、彫刻などの作品を作ること。

※明衡往来（１１Ｃ中か）下末「製作之体太以骨張也」

※草枕（1906）〈夏目漱石〉六「彼等の見たる物象観が明瞭に筆端に迸しって居らねば、画を製作したとは云はぬ」

④ 映画、演劇、放送で、作品や番組を作ること。プロデュース。

※裸女のいる隊列（1954）〈田村泰次郎〉「この映画をつくるために、その製作スタッフは、私たちの駐屯していた山西省の前線まできて」

⑤ (製作) 道具や機械などを作ること。〔日葡辞書（1603‐04）〕

※西洋道中膝栗毛（1874‐76）〈総生寛〉一二「品物を製作(セイサク)し商業を営むものも出来て」

[補注]「制作」と「製作」は従来明確な区別はないが、近来、文芸作品や美術作品の創造には「制作」の字を用いる傾向にある。

出典　精選版 日本国語大辞典